第20話:秋のトランプ
コンコン
夕食後、しばらく部屋で年刊将棋通信を読んでいたら部屋のドアがノックされた
この家で俺の部屋をノックするのは三人しかいない
その一人、母ちゃんはノック後すぐ入って来るし、雪葉はもう寝る準備をしている頃だろう
「どうぞ、秋姉」
「…………うん」
秋姉は静かに部屋へ入って来る
「どうしたの?」
「…………これ」
「ん? トランプ?」
「…………おしえて?」
「あ、ああ……えっと、何がしたいのかな?」
「?」
「いや、ほらババヌキとか神経衰弱とか」
「…………ダウト?」
秋姉は少し悩んだ後、そう答えた
秋姉にルールを説明しながら突然どうしたの? と聞くと、今度ゴールデンウイークに部活の合宿があり、その時に新入部員とのコミュニケーションの為やるらしい
律儀な秋姉の事だ。色々勉強したのだろう、ダウトも基本的な事は分かっていた
「えっと……何が分からないの?」
「…………ダウト」
「え? ま、まあ取り敢えずやってみようか」
「…………ん」
ただ、二人でやると終わらないんだよな
5分後
「終わったよ……」
秋姉は一度もダウトを宣告しなかった
「…………強いね」
俺を見て微笑む秋姉
「あ、あのさ、ダウト宣告しなくちゃ。怪しいのあったでしょ?」
「…………ん」
「じゃ、もう一度やろう」
再び置いていく
「……………」
カードが無いな
順番と違う数字をおく
「…………ん」
秋姉の動きが一瞬止まったが、再びカードを置きはじめた
「…………えい!」
数字が違うカードを5枚ほどいっぺんに置いてみる
「…………ん」
秋姉の動きが一瞬止まったが、再びって
「秋姉、ダウトだよ、ダウト!」
「…………あ」
秋姉は自分が出そうとしていたカードを裏返す。指定された数字では無かった
「……凄いね、敵わない」
秋姉は再び微笑む
「ち、違うよ! 秋姉がダウトって言うんだよ!」
「あ…………うん」
「……じゃあ、今のは無しにして……次、俺ダウトのカードを出すよ?」
「……ん」
俺は適当なカードを出す
「…………………」
「…………………」
「…………ダ、ダウト」
「よし! それで良いんだよ、秋姉!!」
「……そっか……このタイミングなんだ」
俺達は手を取り合って喜ぶ……大袈裟か?
それから秋姉はコツを掴んだのか、次々と正確にダウトをしていく
流石、相手の心理を読むのが上手いな
「よし、もう大丈夫だね」
「……ありがとう」
「うん。……あ、まだ寝るまで時間あるし、春菜呼んでババヌキでもやろうか」
「…………ん」
今日のババヌキ
秋>>>>>>>俺>>春≧父
つづけれ