表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
259/518

第114話:風の音

「お兄さん」


六月最終日。学校の帰り道にある古本屋で立ち読みしていると、後ろから声を掛けられた


「ん? お、風子。本でも買いに来たのか?」


振り返ると、俺を見上げる風子の姿。深く被ったチェック柄の帽子と、色が落ちたジーンズが良く似合っていて、相変わらず男の子っぽい


「今日は文庫本がセールをやると聞いたからね。見に来たんだ」


「そっか。じゃ、店見たらマックでも行くか?」


なんか久しぶりにポテトが食いたくなって来た


「お誘いありがとう、喜んでお付き合いさせてもらうよ。でも……もう少し可愛い格好をすれば良かったかな」


「ん?」


「ふふ、なんでもないよ。ではまた後ほど」


そう言い、風子は文庫本コーナーの方へと向かっていった


ちなみに俺は趣味の本コーナーで、読んでる本は年刊将棋太郎だ。最近、雪葉に将棋で負け続けているからな……


んでもって15分後


「なるほど、これで詰みっと……」


「お兄さん」


「お、風子。ちょうど良い時に来たな」


本を閉じ、棚に戻す


「そっちはもう良いのか?」


「うん」


「そうか。じゃ行くべ」


クーラーが効いた店内を出ると、真っ赤に燃えた太陽が俺達を照らす


「あちーな」


「いよいよ本格的な夏だからね。お兄さんは夏の予定、何か決まってる?」


「大阪行って秋姉の試合を見に行くぞ。後は家族旅行だな」


学校のダチ達とも何か約束をした気がするが、それはどうでも良いやね


「秋さんは、いよいよインターハイ。何だか僕まで緊張してしまうよ」


「よかったら応援してあげてくれな。秋姉は、その応援を必ず力にするから」


「うん」


そうこう話をしている内に、駅前のマックへと着く


「今日は年上特典として奢らせてもらうぞ」


「ありがとう。じゃあ遠慮なくコーヒーをお願いします」


「ああ。頼んでおくから席をとってもらっても良いか?」


「うん」


風子は頷き、店の奥へ入って行く


「いらっしゃいませ」


「コーヒー2つとポテトのLを1つお願いします」


広告は……ポケ〇ンセットか。メニューの割には安いんだよなこれ。今度雪葉と頼んでみよう


「かしこまりました。ご一緒にポテトはいかがですか?」


「いや、頼んでま……え!?」


広告から顔をあげて店員の顔を上げると、そこには


「こんにちは、佐藤君。今日は暑いですねぇ」


0円ですら勿体ない不景気なスマイルで、宗院さんが働いていた


「びっくりした~。バイトですか?」


「ええ。350円です」


「はい、ちょうどで」


「ありがとうございます。それでは右にズレてお待ち下さいますか?」


「ああ、はい」


右にズレてお待ちする


「コーヒー2つとポテトお待たせしました」


「はい」


知り合いが働いていると言うのに、全く盛り上がらない会話だな


「それじゃ、がんばって下さい」


「ええ。……ああ、佐藤君」


「はい?」


「多分、来ますよ」


「……来ちゃいます?」


「ここ何日かテスト勉強の為に部活が休みで、暇みたいですから」


「そうですか……気をつけます」


いや、別に避けてる訳じゃないんだけどね……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ