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第110話:花の逆上がり

「お、兄貴。寿司いつ食べに行くの?」


日曜日の昼下がり。すっかり寝てしまった雪葉に布団を被せ、部屋に戻ろうと一階へ降りると、廊下ですれ違った妹が素っ頓狂な事を言って下さりやがりました


「突然何を言っているのだね、君は」


「前、カラオケん時、言ってたじゃん。俺と飯食いに行けば良いんだよって」


「その後バイキング食いに行っただろ?」


兄ちゃんにはあれが精一杯だ


「え~、あれはあれじゃないの?」


「あれじゃない。俺は八月迄に金貯めないといけないんだよ」


「なんで?」


「秋姉のインターハイを見に行くからだ」


今年の会場は大阪。来週から週払いバイトで二、三万稼がりゃなりません


「母ちゃんに連れてってもらえば?」


「まぁ、それも考えたんだけどな。やっぱ自分の金で行くのが、真の追っ掛けと言うものなのだよ」


実の姉を追っ掛けて、どうすんだって気がしない事もないが


「ふ〜ん。良く分からないけど大変なんだな。ちぇ、兄貴と寿司食いたかったのに」


「そのうち連れてってやるよ。それより春菜」


「なんだ?」


「お前は何で素っ裸なんだ?」


「ああ。ちょっと汗かいたからシャワー浴びようとしたら、急に便所行きたくなってさ。だから」


「バスタオルぐらい巻きなさい!!」


「は、はい!」


俺の怒鳴り声に春菜は慌てて洗面所へ飛び込んで行った


「…………全く」


何を考えてるんだ、あいつは


思春期を通り越して、大阪のおばちゃん(偏見)並に羞恥心が無い


ま、まさか学校でもあんな感じで……


ピンポーン


学校での妹を心配していると、正解音が鳴る


「やっぱり!?」


今度、直也君を問い詰めよう……って、インターホンだわな


「はいはい、今出ますよ」


よっこいしょっと靴を履き、ドアを開ける


「はいよ……花梨?」


開けた先に居たのは、フリフリのスカートにシャツを着た、いつもより一回り小さい花梨さん


「あ、お兄ちゃん!」


「お兄ちゃん!?」


どうしたんだ、こいつ! 熱でもあるのか!?


「……お兄ちゃん?」


俺を見つめる、つぶらな瞳。いつもの邪気が全くない


「えっと……もしかしてなづなちゃん?」


「うん! こんにちは、チカンさん」


ぺこりと頭を下げる、なづなちゃん


「あ、ああこんにちは」


俺も慌てて下げる。しかし何故お兄ちゃんからチカンに言い直したのだろうか……


「今日は、どうしたんだい? 雪葉を呼びに来たとか?」


「今日はチカンさんにお願いがあって来ました」


「俺に?」


一体なんだろう? チカン呼ばわりをされつつ、なづなちゃんの言葉を俺は待った

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