雪葉
「ところで……最近、アイツどうしてる?」
「え? お兄ちゃんの事?」
「う、うん。別にどうでもいいんだけど……げ、元気?」
楽しい給食の時間。花梨ちゃん達とお昼を食べていると、花梨ちゃんは聞きづらそうにお兄ちゃんの事を私に尋ねました
「うん、元気だよ。今日学校終わったら会いに来る?」
「え? あ、いいわよ別に。聞いてみただけだもの」
「ふぅん」
最近花梨ちゃんは、良くお兄ちゃんの事を聞いてきます。もしかして花梨ちゃん、お兄ちゃんの事が好きなのかな? 妹としてはちょっと複雑です
「あ、わたし遊びに行きたい! 兄ちゃんとも会いたいし!!」
花梨ちゃんは良く分からないけど、美月ちゃんはお兄ちゃんの事が好きみたい。妹として最重要警戒人物です!
「僕も会いたいな、お兄さんに」
風子ちゃんも何だか怪しいかんじです! 危険です!!
「…………私はいい」
宮ちゃんは安心。
「ふ、二人とも行くの? ……ならアタシも行こうかな」
花梨ちゃんが私を期待するような目で見ます。断れる雰囲気ではありません
「う、うん。みんなが来てくれると、お兄ちゃんも喜ぶと思う」
みんなと遊べるのは私も嬉しいけど……
「じゃあ、学校終わったら私の家で遊ぼ」
けど、やっぱりちょっと複雑。お兄ちゃん、カッコイイからなぁ
授業が終わって、放課後。宮ちゃん以外のみんなと一緒に、お家へと帰ります
「ただいま〜。みんな、上がって」
「はーい! おじゃましま〜す」
「お邪魔します」
「失礼するよ」
お兄ちゃん、もう帰ってるかな?
「みんなは先に私の部屋に行ってて。お菓子とジュース持って来る」
「アタシも手伝うわ」
「ありがとう、花梨ちゃん。それじゃキッチンに行こ。美月ちゃん達は部屋で待っててね」
「は〜い」
「うん」
階段の所で二人と別れて、私と花梨ちゃんはリビングへ向かいます
「美味しいクッキーがあるんだぁ」
「そうなの? それは楽しみだわ」
お話しながらリビングへ行くと、そこには誰も居なくて、シーンと静かでした。みんなまだ帰って来て無いのかな……
「雪、コップはこれを使って良いの?」
「あ、うん! 花梨ちゃんはコップをお盆に乗せて、先に持って行ってくれる?」
「ええ、分かったわ」
花梨ちゃんは、コップを乗せたお盆を両手で慎重に持って、ゆっくりとリビングを出て行きます
今日は花梨ちゃん達が遊びに来てくれて良かったなぁ。お家に一人じゃ、寂しいもん
「……えっと、あれ?」
おかしいな。レンジ台の二段目に置いといたのに
「キッチン台かな?」
キッチンの収納台に、夏お姉ちゃんのお菓子をしまう場所があります。もしかしたら、お母さんが間違えてそっちに入れたのかも
「んしょ……う〜」
私の身長じゃ届きませんので、キッチンの隅に置いてある踏み台を持って来て乗ってみたけど、それでも微妙に届きません。これはあれですか? 雪葉に対する挑戦ですか!?
「ん〜〜」
お兄ちゃんの妹として、負けられない挑戦を挑まれた私は、精一杯背伸びを
「きゃっ!?」
急に後ろから、身体を持ち上げられました!
「よ、雪葉」
「え? あ、お、お兄ちゃん?」
振り向くと、笑顔のお兄ちゃん!
「探し物か? 持ち上げといてやるから探しな」
「う、うん」
軽々と雪葉の事を持ち上げてるけど、お兄ちゃん重くないのかな……。最近ちょっと太っちゃったし……
「昔は良く、こうして高い高いしたもんだ」
「も〜お兄ちゃん!!」
お兄ちゃんは、いつも雪葉を子供扱いするんだから!
「ふふ。あったか?」
「う〜ん……あ、あった!」
やっぱり、此処だったんだ!
「ありがとう、お兄ちゃん!」
「ああ」
お兄ちゃんは、そっと雪葉を降ろして、
「ただいま、雪葉」
「おかえりなさい、お兄ちゃん!」
やっぱりカッコイイな、お兄ちゃんは。みんなが好きになっちゃうのも仕方ないよね
「……で、雪葉さん。物は頼みなのですが、夏紀姉様に僕の宿題を見せに行ってもらえませんでしょうか?」
「え?」
「どうしても分からない所があるんだよ〜! でも俺が聞くと教えてくれないんだよあの女!! かと言って秋姉に聞くのは恥ずかしいし……お願いします、雪葉さん! 何とぞ、何とぞ〜」
「…………うん。分かったよ、お兄ちゃん。雪葉に任せて!」
「て、天使光降……」
たまにカッコワルイ時もあるけど……。そんな所も大好きだよ、お兄ちゃん!