春の合コン 12
「……あ〜腹減った〜! いつまで待てば良いんだよ〜」
「直ぐ終わっからさ。そしたら行こうぜ春菜ちゃん」
みんなに電話をしてから20分。痺れを切らす春菜に、圭一はそう言った
奴は余裕の発言をしているが、確かに今現在、俺の方には一人も来ていなく、圭一の方には既に七人が来ている
「…………暇人達め」
などと悪態をついてみたが、正直に言って俺は焦っていた。まさか七人も呼んで来るとは……まだ増えそうだし
しかし、しかしその時! 俺の方にも女神が来てくださった!!
「はぁはぁ……ん。……恭介」
息を切らせながら、俺を見付けてホッとした表情を見せる秋姉
「き、来てくれたんだねありがとう」
それと、ごめん……
「うん。……春菜?」
「あれ、秋姉? どうしたんだ? 一緒に飯食べに行くのか?」
「ご飯?」
秋姉は不思議そうに俺と春菜達を見る
「あ、えっと……こ、これはその……」
「恭介!」
「うわぁ!」
怒声に顔を向けると、数メートル先に夏紀姉ちゃん。やたらスタイルの良い三人の女性達を引き連れている
「アタシをあんな電話で呼び出してといて、随分余裕そうじゃない?」
ボキ、ボキボキ
指を鳴らし近付いて来る姉を見て、俺は死を覚悟した
「し、信じられねぇ。なんであんなレベルの高い女達が……」
夏紀姉ちゃんや秋姉達を見て、驚愕する圭一。俺恐怖は伝わってないらしい
しかしその時、大魔王を前に女神が立ち塞がった
「……姉さん」
「え? アキ? それに春菜まで……もしかして貴女達もソレに呼び出されたの?」
「……うん。でも、大丈夫だったみたい。安心した」
秋姉は俺を見て、優しく微笑む。こんな美しくて素晴らしい姉を騙すなんて……俺って言う奴は!
「私は違うぞ」
「そうなの? …………で、一体どういうつもりなのか説明してくれるのかしら?」
一人脳内反省している俺を、夏紀姉ちゃんが怒りの目で睨む。や、やばい、マジで怒ってる
「あ……、その……」
もう駄目だ、土下座をして頭を踏まれよう。運が良ければそれで許してくれるかも……
「皆で昼飯食いに行くって話しになってんだ。それで兄貴が姉ちゃん達を呼び出したみたいだぞ」
素晴らしい土下座を披露しようとした時、春菜が俺をフォローをした
「飯ぃ?」
ギョロリ!
「ひぃ!?」
「……賛成」
「へ? ア、アキ?」
「みんなで一緒に食べよう」
女神の微笑み(効果、HPとMP全回復)
「う……分かったわよ。ごめんね、あんた達。馬鹿な弟が……あんた達もご飯食べる? お詫びに奢るわよ」
「はい、夏紀先輩!」
連れて来たのは大学の後輩なのかな?
「よし。じゃ、此処にいるメンバーで……あっちのはアンタの友達?」
夏紀姉ちゃんは、唖然としている圭一達を指差す
「違うけど……」
気付けば向こうは、一人増えて八人。勝てそうも無いし今のうちに逃げてしまおうか……
「き、恭介〜!」
「え!? つ、燕!?」
最後に連絡した奴、燕が何故か制服姿で、おまけに走って来てくれた。しかも二人を連れて!
「つ、燕〜!!」
俺も燕に向かって走る
「うわ!? ち、ちょっと待ってくれたまえ、此処は人前だ! だ、抱きしめるなら、あちらの人目がつかない方で……」
「……良く来てくれた、ありがとう燕」
立ち止まった燕の前に立ち、心からの感謝を伝える
「あ、あれ? ……こほん。……よしてくれ。君と私の仲ではないか」
「燕……。ありがとな」
「う……うむ」
なんて素晴らしい友を持った男なんだ俺は……
「……盛り上がっている所をすみませんが、ようやく捕まえましたよ燕」
「う……」
「ゆ、ゆかな?」
「こんにちは恭介君。燕が仕事ほっぽり出して逃げたしたので、多分貴方に呼ばれたのだと思いましたが……やっぱりそうだったんですね」
ゆかなのニコニコ顔に、言いようの無い恐怖を感じる
「ま、まさか……燕?」
後ろの二人は連れて来たのでは無くて……
「か、会長、逃げ足早過ぎです……」
逃げて来たのか!
「す、すまない、ゆかなに桜。しかし、今暫くの猶予をくれ! 恭介がピンチなのだ!!」
「……そうは見えませんね」
「か、会長!? な、なんで!」
ゆかなが疑惑の目で俺を見たのと同時に、驚きの声が上がる
「ん? ああ、君はサッカー部の」
「は、はい。……ど、どうして会長が?」
「うん? 彼に呼ばれたからだが?」
「よ、呼ばれたって……ええ!? えええ!?」
俺と燕を交互に見回し、何度も驚く圭一。いや、圭一だけでは無く、圭一サイドの人間は皆、驚きで固まっていた
「こ、この俺ですら、声も掛ける事が出来きなかった会長を……」
「あら? では私に声を掛けたのは、私なら落とせるとでも思ったからですか?」
「ヒ、ヒィイ!?」
あくまでも笑顔を崩さない、ゆかなに睨まれ、圭一はペタリと座り込んだ
「…………」
どうやらこの勝負、此処で終わりになりそうだ。……今のうちにまとめておこう
「まだやるかね?」
「お、俺の負けで良い……です。伝説、この目で確かに見させて頂きました。すみませんっした!」
「……ま、遊びとかじゃなく、本気で春菜を好きになったら、告白でもしに来いよ。そのかわり俺の目の前でしろよ?」
「はい、アニキ!」
「てめぇにアニキ言われる筋合いはねぇ!!」
もう義理の弟気取りか!
「す、すみません!」
しかし、ま、何とか勝ったな
「じゃ、みんなで飯でも行くか。燕も来いよ」
人数は多いが、ファミレスなら何とかなるだろう
「……ゆ、ゆかな?」
「はいはい。そのかわり明日は5時起きよ?」
「う、うむ!」
そういえば燕と夏紀姉ちゃんは初対面だったな。ついでに紹介を……
「お待たせです、恭介君!」
しようと思った時、駅の方から綾さんの声がした
「お、綾さん。戻って…………き……て」
がやがや、がやがや
綾さんの後ろには、百人を越える女性集団
「…………えええ!?」
なんでこんなに!?
「まだまだ来ますよ~」
ぞろぞろ、ぞろぞろ
「…………」
「ペ…………ペガサスファンタジー」
「…………どうしよう、これ」
今日の土下座
俺>>圭
つづくらげ