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春の合コン 7

駅前には二軒カラオケがある。しかし奴らは駅前へは行かず、駅前の道路沿いを10分程歩いた場所にある、ダーツやビリヤードも出来るカラオケ屋、本能寺へと入って行った


「佐藤君、このシチュエーションは!」


「敵は……敵は本能寺にあり! 行くぞ〜!!」


「お〜!」


店の前で拳を振り上げ、道行く人の注目を浴びつつ、俺達は本能寺に乗り込む


「会員証か身分証をお願いします」


「え!? 身分証とかいるんですか?」


一時撤退か!?


「はい、会員証」


「はい、ありがとうございます。場所はどうしますか?」


「場所は15番で、ビリヤードもやりたいのでキューを貸して下さい」


「分かりました」


俺が撤退準備をしている間にも綾さんは話を進めて行き、ビリヤードのキューを受け取った


「はい、マコト君」


「あ、はい。ありがとうございます」


しかし何故キューを?


「先ずはビリヤード場を見に行きましょう」


「はぁ……」


疑問に思いながら綾さんに付いて行くと……


「お!」


5つのダーツと、6台のビリヤードが一緒にあるこのフロアに、春菜達が居た


キューを持っている所を見ると、どうやらビリヤードをやっているらしい


「会って直ぐカラオケと言うのは、女の子を警戒させてしまいます。駅前にもカラオケがあるのにわざわざ本能寺を選んだ時、私はビリヤードかダーツの可能性を疑いました」


「め、名探偵誕生……」


「ふふふ」


綾さんは不敵に笑い、


「ずばりマコト君は、童貞ですね!」


ふざけた事を吐かしやがった!!


「まぁ、それは置いといて。ビリヤードをやりましょう。ぽけーっとしていますと目立っちゃいます」


「……了解」


置いとかれても困るが、取り敢えず春菜達とは離れた台に付き、適当に始める


「マコト君はビリヤードの経験ありますか?」


「ええ。中学の頃、よく打ちました」


ビリヤードに嵌まった夏紀姉ちゃんの相手をさせられただけだが


「ではナインボールでもしましょう。負けた方が一枚ずつ服を脱いで行くルールで」


「いや、目立つから」


「ではムチで」


「意味が分からないんですけど?」


グダグダな話をしつつ、ビリヤードを開始。バンキングをしたが、綾さんは何故か打たず、俺が先行となる


「絶妙な撞き加減。相当やってますね」


「ご想像にお任せします」


上手くならないと、生き残れなかった……


「それではブレイクショットをば」


「慣れた手つきに、巧みなテクニック……よっ、後家殺し!」


「ぶっ!」


掛け声のせいで手元が滑って、一つも落とせなかった


「……綾さん」


「褒め言葉ですよ?」


「いや、その、そんな何で喜ばないんだろ? って顔をされても困りますよ」


まさか本当に褒め言葉だと思っているのか?


「とにかく、ショット失敗です。綾さんどうぞ」


「はい」


綾さんは頷き、キューを構える。その瞬間、彼女の周囲がピンっと張り詰められた。凄い緊張感だ


「さ、流石剣道家」


勝負毎になると、隠した牙を見せおるわ


「…………」


「…………」


ごくり。緊張に耐え切れず、俺の喉が鳴る。そして――


「…………えい!」


こす


「…………」


「…………ビリヤード、教えて欲しいです」


「…………ええ」


先ずは球に当てる所から教えよう


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