俺の父兄参観 5
「反省したかしら〜」
「う、海よりも深く」
「じゃあ解放〜」
「あ、ありがとうございました……ぐう」
こめかみが、しくしく痛む
「あ、あれがあの佐藤家の王、佐藤 舞衣華様」
「な、なんて気なの!? 圧倒される!!」
奥様方の口から唐突かつ大袈裟に語られた母ちゃんの本名。また一つ佐藤家の秘密が暴かれてしまったか……ってどうでもいいけどさ
「こめかみいて〜」
人前だってのに本気でやるんだもんな、おとなげないんだよ
「何か言いたそうね〜」
「い、いえ、何一つ問題ありません! ちょっと水を飲んで来ます!!」
母の奥義を喰らい、瀕死の重傷を負った俺は、俯きながら教室の外を目指し、フラフラと歩く。すると
とん。
扉の前で、何か柔らかい物とぶつかってしまった
「ん? ……あ!」
顔をあげると、目の前には立派過ぎる乳
「す、すみません!」
ぶつかってしまった女性から、慌てて飛び引く
「大丈夫? 恭介クン」
飛び引いた俺に女性は近寄り、心配そうに聞いてきた
まだ幼さが残る顔に、着ている黒スーツでは隠しきれない、不二子ちゃん並にエロい身体。このお姉様は一体……
「だ、大丈夫……です」
喉がやけに渇く。とんだエロテロリストだぜ……
「と、どうして俺の名前を? 以前お会いした事ありましたっけ?」
一度会えば忘れられそうに無いのだが
「え? あ、まだ会った事、無かったんだね。いつも花梨ちゃんからお話聞いているから勘違いしちゃった。はじめまして恭介クン、私は花梨ちゃんのママで霧島 香苗です。ママって呼んでくれて良いよ」
「ま、まま?」
って言うか花梨の母ちゃん!? 若すぎやしないか!
「うんうん。将来のお婿さんだもんね、やっぱり今のうちから馴れておかないとね」
「なっ!? な、何言ってるのよ、ママ!!」
「え? だって結婚後にいきなりお母さん、って呼ばれたらママ、ビックリしちゃうもん。だから今のうちに」
「そ、そうじゃなくて! そうじゃなくて、そいつとはそんなんじゃなくて……う~~」
「何故俺を睨む!?」
「あら~、花梨ちゃんが未来のお嫁さんなのね~香苗ちゃん、息子をお願いね~」
「はい、舞衣華様。大切な御子息、命を掛けてお預かりします」
香苗さんはピンと背筋を伸ばし、最敬礼をした……ってゆーか、うちの母親は何者なんだ?
「おにーちゃん」
「げっ!? ゆ、雪葉、こ、これはな」
「さっき花梨ちゃんに聞いたよ。……お兄ちゃんを信用しなくてごめんなさい」
雪葉は申し訳なさそうに頭を下げる
「……ふ、お前の誤解が解けたならもう俺に怖いものは無いさ」
なんだか色々と泥沼化している気もするが、ほっとこう
キーンコーンカーンコーン
「ん? チャイムだな。席に戻りな、雪葉。兄ちゃん応援しているからな」
「うん!」
元気良く返事をし、雪葉は席に戻る
「……さて」
「う~~」
「兄ちゃん……」
「やっぱり凄いなぁ恋人さん。今度私も遊んでもらおーかな」
「あら~、モテモテね恭介~」
「……ふふ」
「僕の花梨を……き、鬼畜め!」
「こ、こわいよ……助けて直兄さん……」
「恭介クン、お近づきのしるしに今度みんなで一緒にお風呂入ろっか」
「ヒソヒソ、ヒソヒソ」
…………頑張れ、俺




