俺の父兄参観 3
「お、俺が花梨の生き別れの兄?」
し、知らなかった。どうりでいつも突っ掛かって来た訳だ……って
「流石に無理あるだろ!」
昼ドラじゃないんだから
「う……せ、正確に言えば……い、従兄弟?」
花梨は眼を泳がせながら言う
「血が繋がらない従兄弟って、殆ど他人じゃないのぉ? それにこの間は付き合ってるって言ってたのに変だよぉ〜」
のんびりした口調で冷静なツッコミ。この麻奈美って子、侮れん
「そ、それは……」
花梨は一瞬怯えた様な顔をした後、覚悟を決めたのか無い胸を張った
「……あれは、う」
「俺と花梨は許婚みたいなもんだよ。まぁ、花梨は嫌かも知れないけどな」
「っ!?」
花梨はビックリした顔で俺を見る
「い、いいの?」
「いいよ」
後でしっかり雪葉へ説明してもらうけど……
「……あ、あの……えと…………あ、ありが」
「婚約者さんだったんたぁ、やっぱり凄いなぁ花梨は」
「歳の差……それもロマンスね」
花梨が何かモゴモゴ言っていると、麻奈美ちゃんや、奥様連中がウットリしたように呟いた。どうやら通報の危機は去ったらしい
「………………」
ただ、余りの展開に呆然としている雪葉が、我に返った時が恐ろしい
「はぁ。……ん?」
ため息をつき、ふと美月を見ると、美月は泣きそうな顔で俺を見上げていた
「美月?」
「……兄ちゃん、花梨と結婚するんだ……。お、おめでとっ!」
「は?」
「わ、わたし着替えてくる!」
「あ、ああ、行ってらっしゃい」
とぼとぼと教室を出てゆく美月を見送り、花梨の方へ向き直る
「花梨達も着替えて来いよ、授業始まっちゃうぞ」
「う、うん。……行きましょ、雪」
まだ呆然とする雪葉を連れ、花梨もまた教室を出て行った