第103話:俺の父兄参観
さて問題です。私は今、何処に居るでしょう?
答えは……
「な、なんであんたが此処に居るのよ!?」
前の授業は体育だったらしく、数人の父兄以外居ない教室内。やっと子供達が校庭から戻って来たと思ったら、体操着姿のお子さんがいきなり俺に噛み付いてきやがりました
「相変わらず元気そうだな花梨。今日は雪葉の父兄として来たんだよ」
生意気な子供にも優しく説明してやる。これが大人ってもんだ
「ふ、ふん! に、似合わないスーツなんて着て……馬鹿じゃないの!!」
「ぬっ! ……か、花梨は体操着、似合ってて可愛いぞ〜」
大人の余裕、大人の余裕
「み、見ないでよ変態! 馬鹿!!」
「ぐっ!? ひ、人が下手に出てればいい気になりやがって~」
「ふん!」
相変わらず可愛くね~
「あ、お兄ちゃん!」
花梨と睨あっていると、弾んだ声が教室へ入って来た
「よう、雪葉。来たぜ~」
「うん! ありがとう、お兄ちゃん!!」
満面の笑みで、喜びを表す我が妹
ふ、可愛い奴め
「え!? 兄ちゃん!? あ、兄ちゃん!」
「お、美月!」
「どうしたの、兄ちゃん。遊びに来たの?」
正面に立った美月は、俺の右手を両手にとり、軽く振りながら尋ねる
「父兄参観だよ。今日はお前らの授業、見学させてもらうぜ~」
「そうなんだ。う~緊張するなぁ」
「普通通りで良いと思うぞ」
空いた手で、美月の頭を撫でて……
「あ、花梨の恋人さんだぁ。美月ちゃんにも手を出してるの?」
ピシっ!
そんな呑気な声で、教室の空気は凍り付いた




