母の安心 2
某日某時刻某リビング
「お父さんから!?」
重い荷物をヨロヨロとリビングへ運び入れ、寄ってきた雪葉へ贈り主を教えると、雪葉は目を丸くしながら驚きの声をあげた
「父さんから? どれどれ」
夏紀姉ちゃんは起き上がり、めちゃくちゃ怠そうにしながらこちらへ近寄って来る
しかし毎日たいしたことしてなさそうなのに、どうしていつも怠そうなんだこの人?
「歳……か」
「ん? 今、なんか言った?」
「いいえ、なにも。母ちゃ〜ん、親父から荷物が届いてるよ〜」
台所へ向かって声を掛けると、母ちゃんはエプロンを外し、あらあら言いながらリビングへと来た
「あらあら〜」
「開けて良い?」
「もちのろんよ〜」
相変わらず微妙なギャグを飛ばす母だ
「じゃ、開けてみますか」
縦に長く、ガムテーブでしっかり補強された段ボール
その段ボールを、強引に剥いて行くと、くしゃくしゃになった新聞や、発泡スチロールが大量に入っていた
「凄い厳重だな……ん?」
新聞を避けると、箱の下にエアマットで何重にも巻かれた固く、大きい物がある
それを両手で持ち上げ、箱から出すと、ずしりと鉄の重みを感じた
「…………いや、まさかね」
その荷物は、ロープレとかで出てきそうな大剣に見える気がするが、きっと気のせい……じゃないなこりゃ
「こんなもんよく税関通過出来たな……」
ってか何でこんなもん送ってきやがったんだ、あの親父
「剣……よね。クレイモアって奴かしら」
エアマットを慎重に外すと、刃身1メートル程ある両手持ち大剣が現れる
刃は白銀の様に美しく、傷一つ無い。そしてその刃に向かって傾斜し、金色に輝く鍔は、何の装飾もないが、それがかえってきらびやかに見える。見えるが……
「…………」
いや、何を言えば良いのか分からない。こんなもん送られてどうしろってんだ
「あ、お手紙入ってるよお兄ちゃん!」
「なに! 手紙だとぅ〜気付かなかったぜ、流石だな雪葉!!」
「ふふふ。初歩的な事だよ、お兄ちゃん」
この洞察力、判断力、そして推理力……まさか!
「ま、まさか貴女はあの名探偵の……」
「……遂にバレちゃったね、お兄ちゃん。そう、雪葉の本当の正体は……」
「し、正体は……」
ゴクリ。鳴ったのは俺の喉か、はたまた雪葉か
「お兄ちゃんの妹♪」
「おっと、こいつは兄ちゃん一本取られたなっと」
全くお茶目な妹だぜ
「……はいはい、仲が良いのは分かったから、さっさと手紙開けなさい」
「はいよっと」
雪葉から受け取った封筒を、俺はゆっくりと開けた