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院の動物園 4

「いらっしゃいませ〜。飯処、食い倒れにようこそ〜」


「…………」


この先300メートル、ランチあります。との看板に導かれ、着いた所は海の家のような簡易な骨組みの木造建物だった


そこでは、俺達を鹿の角を付けたメイドが出迎えて……って


「奈良か!? い、いや、違うな……メイドか!」


これも何か違う気がするけど……


「いらっしゃいだシカ、ご注文は何だシカ?」


「その語尾、凄い安っぽいですね」


「シカ、シカ!」


鹿が角で攻撃してきやがった!


「え〜いウザったい!」


鹿の角を払うと、角は取れ、床に転がった


「ぐ……私の弱点を見破るとは……流石です」


鹿はってか綾さんはヨロヨロと、キッチンらしき方に去っていく


「…………さて、取り敢えず座ろうか、雪葉」


「うん!」


兄ちゃん、なんだか疲れたよ


「お待たせだネコ〜」


よっこいしょと四人用テーブル席に座ると、鹿の次は何故か尻尾が二つあるネコ耳のメイドが現れてしまった


帰りたい。俺は今、とても帰りたい


「はい、メニューで〜す。どうぞ」


「……どうも」


ネコからメニューを受け取って広げると、動物と食べ物が合わさった名前が書かれていた


「雪葉は何食べたい?」


「カバさんラーメン!」


「即答!?」


しかもカバっ!


「カ、カバさんな。それじゃ俺は……よし、決めた! ネコさん、俺は」


「ネコじゃ無いネコ。ネコマタだネコ。そして気になる弱点は、その名の通り、おま」


「き〜さ〜ま〜!!」


綾さんの頬にアイアンクロー!


「ひう、ひう〜〜」


「俺はワンパク熊さんカレー、雪葉はカバさんラーメン! 分かりましたか!?」


「ひう〜」


「よし」


ネコを解放


「はぅう……クセになったら責任取って下さいね?」


「絶対に嫌です」


「ツンデレきた?」


「何も来てませんから、とっとと行って来なさい!」


「は、は〜い」


綾さんは逃げる様にキッチンへと入って行った


「全く! ……う!?」


雪葉がジっと俺を見ている


「あ……あの……、雪?」


「可愛いかったね、ネコマタさん! お兄ちゃんのお友達?」


「あ、うん……。一応……多分?」


「はい、お友達です!」


両手にカレーとラーメンを持ち、綾さんが飛び出して来た


「早っ!?」


「早い、エロい、ちょっとエロいが、お店のモットーですから」


「ろくでもないモットーですね」


「しかしその言葉とは裏腹に、俺の象は雄叫びをあげてしまうのだった」


「取り敢えずラーメンとカレー置いて下さいね。叩けないから」


「……すみませんでした。はい雪葉さん、カバさんラーメンです」


「ありがとうございます!」


「お兄さんには熊さんカレー」


「どうも……う!」


カレーは野獣の香りがした


「先日、この動物園で熊が亡くなったそうです」


「ちょっと待てぃ! 何ですかその唐突過ぎる情報は!?」


まさかこのカレーに入っている肉は!


「このナルトさんとか、お肉、カバさんの形してる〜」


嬉しそうにナルトを食べる雪葉。メルヘンチックで素晴らしい


「さ、お兄さんも冷めない内に召し上がれ……だネコ」


「中途半端なキャラ設定は要らないですよ! ちくしょ〜」


出された物は、きちんとと食べる。そう教育された自分が恨めしい


俺は覚悟を決めて、カレーを一口……


「…………う、うま~い!!」


口に含んだ瞬間、無限に広がるスパイス。

 マッタリと舌に絡み付きながらも喉をすんなり通り、胃袋の中までうま味が満ちてくる


「その中でも際立つのはこの肉だ。始めは生臭い肉だと思ったが、一口、また一口と噛む毎に味を変えてゆきおる。今では何故か、完熟したメロンの味にまで変わりおったわ!」


「……それって絶対カレーに合わないと思う」


「ううむ~、こんなカレーを作る職人がまだ日本におったとは……。シェフだ、シェフを呼べぃ! おなごだったら嫁にしてやるわ!!」


「はい」

綾さんが軽く手を挙げた


「? ……えぇいシェフを呼べぃ!」


「はい」


綾さんが軽く手を挙げた


「………………」


「………………」


「……チ、チェンジで」


「不可です」


「…………」


「…………」



今日の見つめ合い


俺≧徳


つづたいら


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