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第96話:燕の逃亡

お小遣を貰い、雪葉とおやつを買いに行った帰り道。

 もうじき我が家へと着くと言う時に、俺は不審過な人物を目撃してしまう


「…………何をやってるんだアレ」


「う〜ん。なんだろ?」


一歩進んで二歩下がり、三歩進んでは二歩下がる


その不審過ぎる行動を取る人物の他に、もう一人誰かがいる。

 どうやらその人は女性の様であり、不審人物者を見守っている様に見える


「うむ〜」


謎だ


謎ではあるが、此処を通らんと家に帰れん


「お兄ちゃん?」


「ん? ああ、何でも無いよ」


別に心配する必要は無いんだろうが、いざとなっても雪葉一人守る事ぐらいは出来る


「さ、帰ろうぜ」


「うん!」


雪葉の手をしっかり握って、俺達は不審な連中の方へと歩く


「……のあ……だ……ら」


「でも……でしょう?」


「うん? 何処かで聞いた事があるような……あ」


近付くにつれ声と姿がはっきりとして来て、あの不審人物者達は、俺が知っている人間だと言う事が分かった


「しかし、のこのこと家に行き、なにしに来たんだよ? などと言われたら……」


「そんな事を彼は言うの?」


「……言わない」


「だったら」


「でもそれは彼が優しいから……」


「とにかく会ってきちんと話をしなさい。彼だってどうして突然別れを告げられたのか知りたいでしょう」


「で、でもぉ……」


「…………ふふ」



「な、なんで笑う!?」


「ごめんなさい。ただ、鬼の生徒会長がこんなに可愛い女の子だってみんなが知ったら、驚くだろうなと思って」


「む……可愛いなどと言わないで欲しい。私には一番似合わない呼び名だ」


「そう?」


「私を可愛いなどと言う馬鹿者は……。一人だけでいい」


「うふふ。やっぱり可愛いわ、燕」


「可愛いと言うな~」


「…………」


「どうしたの? お兄ちゃん」


「……いや、ちょっとな」


物凄く出て行き難い


「だけど、いつまでも此処に居たって仕方ないでしょう。どうしても足が進まないなら今日はもう引き上げましょ?」



「……確かに足が震えて前に進まない。しかし、しかし逢いたいのだ! だから私は行く! 止めるな、ゆかな!!」


「止めてませんよ。それじゃ、私は帰りますね」


「え!? あ、ち、ちょっと待ってくれ。彼の家のインターホン押すまで傍に……何を見ているのだ、ゆかな?」


ゆかなが、俺に向かって頭を下げる。……気付いてやがったか


仕方なく俺は二人に近寄る


「何を……うわ!」


うわって……


「な、なんでっ、ぐ、ゴホ、ゴホ!」


「だ、大丈夫か?」


「う、うむ。……な、なんで君が此処に?」


「俺ん家ですよ、そこ」


「そ、そうだったな。そうだ、そうだ」


……変な奴


「お兄ちゃんのお友達?」「まあな。……久しぶりだな、ゆかな」



「そうですね、恭介君。お元気でしたか?」


「ああ……で、そっちの小さくなってる奴」


「う……」


「時間あるなら茶でも飲んでけよ、二人とも」


「はい、一服頂きます」


「燕」


「…………う、うむ」


「よし、行くぞ野郎ども~」


「お~!」


「はい」


「…………」


「お、ノリが良いな雪葉」


「えへへ」


「ふ、可愛い奴め」


「あ…………お、お~」


「…………へ?」


「……恭介君、フォローしてあげて下さい」


ゆかなは、小声で俺に耳打ちするが……


「な、何をフォローすれば良いんだ?」


「鈍感ですね」



ゆかなはニコニコ笑顔で言うが、明らかに少し怒ってる


「はぁ、分かったよ。……可愛いぞ燕」


「ひぅっ!? う……ぅぐ…………か、帰る! 私もう帰る!!」


そして燕は逃げる様に走り去って行った


「…………」


「…………」


「…………ごめんなさい恭介君。燕には後できっちりと怒っておきますから」


「……お手柔らかにな」


「はい。それでは失礼します」


「ああ、気をつけて」


燕を追うゆかなを見送り、唖然としている雪葉に声をかける


「雪葉」


「あ、うん……。お兄ちゃんのお友達って……何だか元気な人だね」


変な人と言いたいんだろうな


「まーな。……さ、もう日が落ちる。家に入ろう」

「うん」


しかし何しに来たんだ?




今日の不審者



つづからせ

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