雪のお仕事 6
「ぐふぅ……お、御喪手南……死…………」
「お、お兄ちゃんが不良さんみたいな言葉を言いながら泡を噴いて!?」
…………あれ? いつの間に俺は外に出たんだ? 此処は何処なんだろうか? ……わ~、あっちに素敵なお花畑に囲まれた綺麗な川がある~、行ってみよ~
「お、お兄ちゃんが白目でニコニコしながら痙攣を!? し、死んじゃ駄目! 死んじゃだめ~!!」
あ、川の向こうで手を振ってるのは親父だ~。えへへ~、俺も今そっちに行くぞ~
「そ、そんな……う、うそだろ? あ、兄……貴…………い、嫌だ……嫌だ、嫌だ! 死なないで、死なないでくれ兄貴~!!」
「う…………う?」
川に向かう途中、背後から二つの光が俺を呼んだ。……なんて暖かい
俺は振り返り、その光へ向かって歩き出す
そして俺は、その光に向かって手を延ばした
「兄貴!」
「お兄ちゃん!」
「…………お、お前……た……ち」
俺の両手は涙を流す二人の妹達に、しっかりと握られていた
「此処は……家?」
さっき三途とか、そういう名前が付きそうな不思議空間へ行ったような気もするが、まぁ良い
「よ、良かった……」
雪葉は、力が抜けたようにヘタっと床へ座り込んだ
「……俺は一体?」
何が起きたんだ?
「……ごめんなさい、お兄ちゃん。雪葉がお兄ちゃんの首を……」
ああ、そうだ。頚椎を破壊する必殺技を喰らったんだったな
「だが生きている」
カサンドラに捕まってそうなセリフを言いつつ、身体を起こす。
首は痛いが、我慢出来ない程では無い
「だからもう泣き止めよ、雪葉。おもてなししてくれるんだろ?」
「……ううん、今度こそ雪葉の負け。そもそもお兄ちゃんを巻き込んでお世話勝負をする事自体、おかしいよね」
弱々しく微笑む雪葉。その雪葉の頭へ、俺は自然と手を延ばしていた
「楽しかったぜ、ありがとう雪葉」
「あ…………えへ」
「…………いいなぁ」
そう呟く春菜の頭も撫でて、
「春菜もな、ありがとう」
「……へへ!」
俺は良い妹達に恵まれているな……首痛いけど
「あ、首大丈夫か? ちょっとほぐしてやるよ」
春菜は俺の後ろに回り、弱い力で首を刺激する
「むぅ……痛気持ちい」
「雪葉、ジュース持ってくるね」
雪葉いそいそと台所へ行き、トレイに三人分のジュースを乗せて戻って来た
「はい、お兄ちゃん、お姉ちゃん」
テーブルにジュースを乗せ、俺の傍らに座り、団扇を扇ぎ始める
「うむ、涼しいぞ」
極楽だ〜
なんて極楽気分を味わっていると、ガチャっとリビングの扉が開いて……
「……ただいま」
秋姉が帰って来た!?
「あ、秋姉! おかえりなさい!!」
「ん…………?」
秋姉は俺達を見て、目を丸くする
「あ、こ、これは!」
体操着と水着姿の妹に、首を揉ませ、団扇で扇いでもらっているこの姿は……
「…………酒池肉林?」
今日のハーレム
俺>>>>>>>>>>>>>春≧雪>>秋
ツタヤ