表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
189/518

雪のお仕事 2

「どうしたの、お兄ちゃん!」


春菜の関節技によって、瀕死の重傷を負った俺を心配し、真っ先に来たのは雪葉だった


「ゆ……き……」


「お、お兄ちゃん!? どうしてこんなにボロボロに……」


「大袈裟だって兄貴は。ちょっと足の関節を伸ばしただけじゃんか」


春菜はよいしょっとベッドから下り、雪葉の頭を撫でる


「お前のちょっとは中国雑技団レベルか……」


「お兄ちゃん……。春お姉ちゃん! お兄ちゃんをいじめちゃ駄目だよ!」


「いじめてなんか無いって。私はただ、兄貴の世話を……」


「お兄ちゃんのお世話は雪葉のお仕事!」


「む! 別に私が世話しても良いだろ。私も妹なんだし」


「雪葉の方がお兄ちゃんのお世話出来るもん」


「マッサージだぜ? 雪葉は力が無いから駄目だって。此処は私に任せてゆっくりテレビでも見てな」


「お姉ちゃんこそ、外で走ってくれば!」


「む!」


「む~」


バチバチッ!


夢か幻か、二人の間に青い火花が見える


「ゆ、雪葉さん、春菜さん。ケンカは良くないかと……」


「ならどっちが兄貴を上手く世話出来るか勝負するか?」


「良いよ! 勝負だよ春お姉ちゃん!!」


「望む所だ~!」


かくして血を分けた二人の姉妹の、儚くも美しい戦いは幕を開けたのでしたって、俺の意志は無視ですか……



一試合目


【マッサージ対決】


「制限時間は15分。雪が右足、私が左足をマッサージするから、どっちが上手かったか兄貴は審査してくれ」


「あ、ああ」


「それじゃ最初は雪葉がマッサージするね」


「ああ」


雪葉はちょこんとベッドに乗り、俺の足を揉みはじめる


「……ん、ほほう、気持ちが良いぞ雪葉君」


「本当? じゃ、も~っと気持ち良くさせてあげるね!」


ギュ、ギュと一生懸命の力で雪葉は俺の太ももを揉む。軽い痛みと、しっとりとした手の平の感覚が心地よく、うっかりすると眠ってしまいそうになる


「ふぅ……極楽じゃ~」


日頃の疲れもぶっ飛ぶぜ



ピピピピ


夢心地だった俺を、無粋な電子音が呼び覚ました


「せっかく良い気持ちだったのに……」


「また後で揉んであげるね、お兄ちゃん」


「ああ、ありがとう」


ふ、可愛い奴だ


「さて次は私だな」


ゴキン、ゴキンと指を鳴らしながら俺に春菜は迫る


「ち、ちょっと待て。するのはマッサージだよな?」


「ああ。任せとけって!」


「任せたくねぇええ!」


十五分後


「か、軽い!? 軽いぞぉおおお!!」


まるで足に羽根が生えたような心地良さ。まさか日本にこれだけの技術者がおったとは……


「ストレッチとかマッサージは部活で毎日やってるからな」


「う~~」


悔しそうに春菜を見る雪葉さん。そう、この勝負は……


「勝負一回目。勝者は……春菜」


「おっしゃー!」


「次は負けないからね!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ