表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
183/518

秋の見学会 3

体育の時間も終わってしまい、昼食の時間。秋姉はまだ来てない


約束は必ず守る秋姉だけに、何かあったのではと心配になってくる


「佐藤、弁当食わないんなら俺が食おうか?」


「…………どうぞ」


「なっ!? 大丈夫か佐藤!!」


「どうしたH男!」


「佐藤が弁当要らないと言っているんだぁあ!」


「なんやて〜!? 何があったんや、さとうぅうう!」


……こんなテンション高いクラスだったっけ?


呆れながら見ていると、俺達の騒乱とは別の騒ぎが、教室内で出始めた


「……若いわ。誰のご家族かしら」


「……いや、なんて言うか凄い美人だな」


そんな声があちこちから聞こえる


「…………ふ、来たか」


美人=秋姉


それ以外の方程式は成り立たない


俺は敢えて慌てず、ざわめきに耳を貸す


「ん? ……あ、あれはまさか!」


親達の異変に気付いたクラスメート達は、廊下を見て驚愕する


「や、やっぱりそうだ。あの人は佐藤家のビーナス!」


「……そうだ」


お前らが今、見ているお方こそ現世に舞い降りたビーナス


「教室に入って来たぞ! あ、あの方は、あの方こそは〜」


「そうだ! そのお方こそ美しき俺の女神!!」


勢い良く振り向き、俺は高々に宣言を


「佐藤 夏紀様だぁあああ!!」


ドンガラガッシャン!


「ぐぉおお〜!」


「だ、大丈夫? 佐藤君」


椅子ごとぶっ倒れて身体を強く打った俺を、隣の席の加藤が心配してくれた


「……な、なんとか大丈夫」


起き上がり、恐る恐る顔を上げてみると……


「アタシが来たからって舞い上がりすぎよ」


両腕を胸の前で組んで超偉そうに立つ、スーツ姿の夏紀姉ちゃんが目の前に居た


「な、夏紀姉ちゃん?」


「あん?」


「何で此処に居るの?」


「……授業をわざわざ見学しに来てやった姉に対して、随分舐めた事ぬかしやがるわね?」


「え!? い、いやだって確か秋姉が来るって」


「アキは午前の授業が終わったら直ぐに行くって言ってたわよ。アタシは自分の代わりに午前行って欲しいって頼まれたから来てやったのよ」


「午前って、もう午後……」


「アタシは朝一から居た。……分かるわよねぇ?」


「ね、姉ちゃんは一時間目から居ました!」


「そう。風邪気味で頭が痛い所を、弟の為に無理して来ちゃった素敵なお姉ちゃん。アキにはそう言いなさい」


「…………はい」


「宜しい。じゃ、学食行きましょう」


「はい?」


「学食。結構美味しいらしいじゃない、此処の」


「ぼく、弁当あります」


「だから?」


「…………H君。弁当食べて下さいね」


「あ、ああ」


ポカンとするHってか英雄に弁当を渡し、俺は夏紀姉ちゃんと共に学食へ向かった


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ