雪の秘密 7
【エスカレーター】
「え、えっとね、それが学校で流行ってるんだけどね」
「へぇ。そうなのか」
タコ焼きを食べ終わり、エスカレーターで五階のオモチャ売場に向かう途中。
花梨は何故か一緒懸命話し掛けてくる
「えと……昨日サッカー見た?」
「いや、寝てた」
「そ、そう」
「さっきからどうしたんだ、花梨。落ち着き無いぞ」
「だって……」
いつもの凶暴さがまるで無い。これはこれで大人しくて良いのだが……
「調子が悪いなら引き上げようか?」
雪葉達も見付からないし
「ううん、大丈夫よ。……心配してくれてありがとう」
そう言い花梨は笑顔を見せた
やっぱり体調が悪いのか少し変だ。だが
「そんな状態でも俺に協力を……」
「え?」
凶暴な子供だと思っていたが、こんなにいい子だったとは
「よし、花梨! 二人で頑張ろう!!」
「う、うん!」
花梨と言う素晴らしき友を得て、いざオモチャ売場へ!
これで居なかったら仕方ない。一度雪葉の携帯にメールを送ってみるか
なんて事を考えつつ、警備員の如くフロアを巡回
しかし
「……デートにオモチャ売場は無いかな」
「大丈夫よ。私、今凄く楽しいから」
花梨は俺を見上げニッコリと笑う
「そうか?」
ふ、やはり子供にはオモチャか。俺の様に大人になってしまったピータンには分からない魅力があるのだろう
今日のお礼だ、何か花梨に……
「あっ!?」
花梨に何かを買ってやろうと周りを見渡した俺の目に、中睦ましく買い物をしている雪葉&野郎の姿が!
「On Shit! あの糞野郎は何者だい!?」
余りのショックに欧米化が進む
「え? あ、お兄ちゃん!?」
「あら雪? それと広野さん」
「あ、花梨ちゃん、久しぶりだね~。それと恭介さんもこんにちわ」
「……貴様、壬也か」
それは運命に縛られた四人の男女が、宿星の導きにより出会ってしまった瞬間だった