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雪の秘密 6

「ほんと、ごめん!」


「…………」


結局バッティングセンターにも雪葉達は居なく、口を聞いてくれない花梨と共に、階段を降りる


「ほんと、ほんとーに、ごめんよ」


何だかさっきから謝ってばかりだ……


「…………ハァ。もう良いわよ、許してあげる。……勿体ないし」


「勿体ない?」


「な、何でもない! そ、それより次は何処に行くのよ?」


「そ、そうだな……」


今は午後三時。おやつを食っている頃かもしれん


「下でタコ焼きか何か食べようぜ」



【地下一階食品市場】


「何でも食べたい物、言ってくれな」


食品市場には、鯛焼きやタコ焼き、アイスクリームやハンバーガー屋がある


「…………」


「どうした?」


「私、要らない。あんた食べなさい」


「ん 腹減って無いのか?」


「ええ」


ぐ〜


頷くのとほぼ同時に、健康的な音が花梨の腹から響いた


「はは。花梨のお腹が、腹減った〜って言ってるぞ」


「ち、ちがっ! 今のは」


「奢りってのが気に入らないんだろうけどな、今日ぐらいは俺に甘えとけ」


頭を軽く撫でると、花梨はクマのぬいぐるみを胸でギュッと抱いて、コクんと頷く


「よし」


こうして素直だと可愛い子だ


「じゃ、何食う?」


「…………ん」


頷いたまま、顔を上げない花梨さん。指差したのはタコ焼きだ


「ふむ、たまには良いな。では買いましょう」


なんて財布を取り出して、オヤジからタコ焼きを買っている間にも雪葉達を捜す


「……此処にも居ない」


もう大分時間が過ぎている。もう居ないんじゃ……


「はい、おまちどう」


「あ、どうも」


とりあえずタコ焼きでも食うか


「ほれ」


「あ、ありがとう」


店の横にあるベンチに腰を掛け、タコ焼きの蓋を開ける


中にはピンポン球の様なタコ焼きが八個。これで350円は安い


「後はタコの大きさか」


爪楊枝でタコ焼きを刺して、一口


「……ふむ。中々デカイ」


そしてかなり美味い。やるなオヤジ!


「い、いただきます……あ、美味しい!」


「お、ようやく笑顔になったか。そうやって笑ってる方が可愛いぞ」


「はぐっ!? 痛っ!」


「ど、どした?」


「ひ、ひたはんだ……」


「大丈夫かよ。ほれ、見せてみろ」


「ら、らいひょうぶらから」


「良いから舌出せって」


酷い様なら軟膏を買って付けてやろう。……雪葉も昔は良く噛んだものだ


「………………ん」


花梨は目を閉じ、小さな舌を俺に向けて出す。なんか猫みたいだ


「……大丈夫だな。タコ焼き食べれそうか?」


「…………ん」


コクンと頷く花梨さん。やけに素直だが、悪い物でも食ったか? ……タコ焼き?


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