表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
169/518

雪の秘密 5

「ほんとすみませんでした!」


「びっくりしたよ。気をつけてくれよな」


「はい……。ごめんね」


「もういいよ、お兄ちゃん。ちょっと楽しかったし」


「あ、ありがとう。……それじゃあ、行こうか花梨」


「ええ。……私の兄が大変失礼しました。もうこんな事しない様に、きっちり怒ります。ほら、お兄ちゃん、キビキビ歩く!」


「は、はい。で、では……」


親子にもう一度頭を下げて、俺は花梨に連れられ歩く


「はぁ……助かったよ、ありがとう花梨」


花梨が兄妹設定にしてくれなければ、不審そうに俺を見ていた父親に色々追求されたかもしれない


「別に良いわよ。あんたが世話焼ける人だって言うのは、もう知ってるから」


「……そうですか」


なんだこの切なさは……


「あの……それで、もう一つ行って欲しい所があるのですが……」



【屋上バッティングセンター】


「初デートにバッティングセンターって……」


「ん? なんか言ったか?」


「何も言ってないわよ!」


「そ、そう?」


なんかすげぇ機嫌悪いけど……


「ほら打つわよ! 打てば良いんでしょ、打てば! ええ、打ってあげるわよ!!」


「いや、あ……はい、お願いします」


怖いから逆らうのは止めておこう


「じ、じゃあカラーボールのやつにしようぜ!」


左端にある、子供用のゾーン。バットも球もプラスチックの軽い物だ


「とは言え時速60キロ。結構速いから気をつけるんだぞ」


花梨にヘルメットを被せ、金網の中へ入る


「見てなさい。簡単に打ってあげるから!」


そう言い構えた花梨さん


「…………グリップを持つ手は、離さないでくっつけた方が良いぞ」


釣りじゃないんだから


「ぐりっぷ?」


「今、持ってる所だよ」


「そうなの? ……こう?」


「う〜ん。悪くは無いんだが……傘をさす感じで持ってみな」


「こう?」


よし、自然体で良い感じだ


「じゃあグリップを雑巾だと思って軽く絞って」


「…………こう?」


「以外と良いな」


「そ、そう?」


「ああ。じゃ、ベースの左側に立って……前を見据えて……よし、振ってくれ!」


「えい!」


掛け声と共に、花梨は思い切り振ったが、どうにも身体が泳いでいる


「腰で振ってないから駄目なんだよ。どれ、ちょっと腰を支えてやる」


腰とスムーズな体重移動こそが、バッティングの基本だからな


俺は花梨の背後に周り、腰を……


「お兄〜ちゃん」


「っ!」


ゆ、雪葉!?


「打ったよ、お兄ちゃん」


「うん、凄いよ瑠美」


声の方を見ると、向かいのバッティング場で小学5、6年生に見える男の子が、雪葉ぐらいの歳の子の頭を撫でていた


「……なんだ、違う子か」


兄妹でバッティングセンターか


「微笑ましいな」


なんて人を眺めつつ、花梨の腰を……


「ひぅっ!? ち、ちょっと、そこ胸っ!!」


「え? あっ! わ、悪い!! あまりにも平らだ金本!?」


腹部にフルスイング!!


「ナ、ナイススイング……」


「最っっっ低!!」


「ご、ごめん……」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ