表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
167/518

雪の秘密 3

「ち、ちょっと、離してよ!」


デパートへ侵入し、エスカレーターに向かう途中、花梨は抗議の声を上げた


「あ、ああ、ごめん。痛かったか?」


「痛くは無いけど……」


花梨は顔を赤くし、腕をさすっている。……怒らせた?


「本当、ごめん。俺、焦っちゃって……」


「……いいわよ、もう」


「ごめんな」


「……うん」


「…………」


「…………」


「………………」


「………………」


な、なんだこの気まずさは?


「あ、と、とりあえず、ゲーセンに行こうぜ!」


「ゲーセン?」


「ああ。先ずはそこから行こう」


「え、えっと……」


「金は全部俺が出すよ」


「そ、そうじゃなくて! ……今日行くの?」


「え? 時間無いか?」


「あ、あるけど、私、こんな格好だし……」


青のワンピース。白い風鈴のガラが涼しげだ


「ん? 良く似合ってるぜ、可愛いぞ」


「か、かわっ!? …………う〜〜」


花梨は顔を伏せ、益々赤くなっていく


か、完璧に怒らせてしまったようだ。機嫌を取らなくては……



【五階子供フロア】


子供フロアの一角にあるゲーセン。花梨の機嫌を気にしつつ、雪葉を捜す


「…………此処には居ないか」


と、なると次は映画?


「どうやら大丈夫のようだな。じゃ、次に行こうか」


そう花梨に声を掛けると、花梨はUFOキャッチャーの中をジッと見ていた


花梨の視線を追うと、リラックスしているクマのぬいぐるみ


「それ欲しいのか?」


「え? み、見てただけよ」


「ふーん。どれどれ? お、いけるな。ちょっと待ってろ」


「え? い、いいわよ! ち、ちょっと可愛いなって思っただけで、そんなに欲しい訳じゃないんだから!」


「俺が花梨にあげたいんだよ」


機嫌を取るために


「っ!? う、う〜〜〜〜〜〜」


スカートの両端をギュッと掴みながら、更に更に顔を真っ赤にして唸る花梨


あ、あれ? 益々機嫌が悪く?


「と、とにかく任せろ!」


財布から100円を取り出し、レッツプレイ


ちゃららー、ぽらららー


「よし、此処だ」


人形の中心点にアームを下ろし、掴む。そして


ぱらぽらぴー


「ふ、一撃だぜ」


「あ……え、えと……た、たまにはあんたもやるじゃない!」


「はぁ、どうも。ほれ」


「う、うん。……あ、ありがと」


花梨は受け取ったぬいぐるみで口許を隠し、上目使いで呟く様に言う


まだほのかに赤いが、機嫌は直ってきているみたいだ


「どういたしまして。じゃ、映画見に行くか」


「…………ん」


コクンと頷く花梨に安心しつつ、次は映画館に乗り込むぜ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ