月の特訓 3
「それで、かくかくしかじかなんだ」
秋姉に百人一首の練習をしている事を説明し、参加をお願いする
「えーと秋ちゃん? 一緒にやろうよ!」
美月は秋姉の手を取りソファーへと引っ張った
「………あき……ちゃん」
「ほら、あたしの横に座って!」
「…………ん」
どうやらお互い気に入ったようだ
「アキは無愛想なわりには子供に好かれるのよね。さて、それじゃ続きしましょうか」
その後も暫くやったが、美月が意外と早い!
気付いた時には俺が2枚、秋姉が0枚、美月は13枚となっていた
「…………すごいね」
秋姉は美月の頭を撫でる
「へへ〜」
秋姉、百人一首とか苦手なのかな
「アキ、あんた本気でやってる?」
「…………」
「秋ちゃん、本気でやって無いの!? 駄目だよ、本気でやらなくちゃ!!」
「…………うん」
秋姉は夏紀姉ちゃんを、余計な事言いやがってコノヤロウって目で見た後、頷いた
「それじゃ行くわよ〜。せ」
パシン
「………うら」
パシン
「………………さ」
パシン
「………………」
夏紀姉ちゃんが俺を困った様な顔で見る
「………………」
俺も同じ様に困った顔をして、首を横に振った
「…………すげー、超すっげー!!」
美月は秋姉ちゃんをキラキラした目で見る
「秋ちゃん、超、超、ちょ〜すっげーや! 師匠って呼んでいい?」
「…………ん」
秋姉ちゃんは頷いた
「やった〜新師匠!!」
「み、美月〜」
「何、兄ちゃん?」
あれ、師匠降板?
「師匠、もっと百人一首教えて」
「ん…………これ……むすめふさほせ………これ…………取り札……」
その後、秋姉ちゃんは不器用ながらコツや、取り方等を説明し、夏紀姉ちゃんが横からフォローする
俺はすっかり、かやの外
「…………母ちゃん、手伝う事ある?」
「無いわよ〜」
「そう……」
そして夕方。
「じゃー帰るね!」
「また来なさいよ」
「うん! なっちゃんも、師匠もありがと!!」
「…………ん」
いつの間にか夏紀姉ちゃんもあだ名ですか? へ、仲の良い事で
「兄ちゃん」
美月はいじけている俺の側に来て、俺を見上げニッコリと笑う
「え?」
「また遊ぼーね!」
…………ええ子や
「あ、ああ! またな美月!!」
「バイバーイ」
家の外まで出て行って、三人で美月を見送る
「本当、良い子よね」
「ああ………ところで美月は強くなったのか?」
「…………無双」
「……の、飲み込み早くてね〜。まさか小学生が遊びでやる大会だとは思わなかったから」
その後、雪葉に百人一首の結果を聞くと、美月はクラス全員分の給食を手に入れたそうな……ちゃんとみんなに返したらしいけど
今日の師匠
秋>>>俺>夏>母>月>父
つづきまっせ