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夏の惨劇 3

「ああん、美味しい! 好き、好き〜」


「…………」


「ほら、もっと飲みなさい。姉ちゃん、お酌してあげる」


「…………」


「はふぅ……うふ。もう一杯♪」


「…………」


戦いが始まってから早一時間。超ハイテンションな夏紀姉ちゃんは、魚やスルメをつまみにグヒグビ飲んでいる。

 俺はあくまでもマイペースで飲んでいるが、もう瓶にして約二本分の差がついている


「あ〜幸せ! お酒ってほんと美味しいね!」


「…………」


さっきから全くペースが変わらないのだが、この姉は化け物か?


「よっし! 佐藤 夏紀、此処で一気飲みします!!」


そう言い、夏紀姉ちゃんは新しい瓶を開けて立ち上がる


「ね、姉ちゃん、無茶しないほうが……」


それに沢山あるとは言え、その焼酎は高級なんじゃ?


「無茶を越えてこそ真の酒飲みなのよ……ほら、音頭とりなさい」


目がマジだ……


多少心配だが、夏紀姉ちゃんなら平気だろう。ならいっそ一気飲みさせて早めに潰してしまうか


「はい、はい、はいはいはいはい! 素敵な素敵なお姉さん。素敵な一芸一気飲み! 新宿二丁目制覇した、貴女の実力見せてくれ〜」by.ヨド〇シカメラ


「行きま〜す」


覚えている。俺は覚えている


瞬きを二回だ。確かに二回だ


ゆっくりした訳でも無い。ごく普通の瞬き


それで750mgの瓶は空になっていた


「プハァ〜! うまい、もう一杯!!」


そして姉ちゃんは新しい瓶を開ける


……心が折れた


俺はこの人に一生勝てない


肝臓のポテンシャルが違い過ぎるのだ。勝てる訳が……


頑張れ、兄貴!


……春菜?


戦いなさい 、恭介


母ちゃん……


……勝って


秋姉!


夢か幻か。今だ倒れている家族達の声は確かに届いた


「……俺も一気飲みするぜ」


「あ、なら一緒に一気しましょう♪」


再び空になった瓶を置き、更に一本手に取る夏紀姉ちゃん


「行くぜ姉ちゃん!」


「よし来た勝負よ!」


俺は覚悟を決め、焼酎を一息に……


「あ〜うまい! もう一本!」


「無理です」


勝てません


薄れゆく意識の中、最後に聞こえたのは優しい姉の声


「……お酒は二十歳になってから……」





今日の酒量


夏>>>>>>>>>>>>俺>>>>>母>>>秋>>春>>>雪


続木


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