第84話:秋の不思議
「ただいま~」
「…………おか」
学校が終わり、相も変わらず即帰宅。素早く靴を脱いでリビングへ
「ただいまっと」
まだ誰も帰っていないのか、家の中は静まり返えっていた
「……ふむ」
ゲームでもやるか!
「あ……おかえ」
「ゲームだゲームだ!」
部屋に戻り、ゲーム機を取って再びリビング。
テレビにゲーム機を繋げ、ソファーに座って、買ったばかりのゲームをさぁプレイだ!
【あちゃーおちゃー玄米茶!】
【くるくるぱー!!】
十代には分かりそうも無いネタの格ゲー。やはり50インチのテレビでやると迫力が違う
「……ふぅ」
喉が渇いたな。お茶でも飲むか
「……お茶」
良く冷えたお茶がテーブルに差し出された
「お、ありがっ!?」
差し出された方を見ると、制服姿の秋姉
「い、いつ帰ったの?」
「……さっき」
そう言って何故か秋姉はジト目で俺を見る
「そ、そっか。気付かなかった、ごめんよ」
「ん」
秋姉は軽く頷き、
「……見てて良い?」
と尋ねた
「う、うん……」
「横に座るね」
そう言い秋姉が座ると、爽やかで、甘い香りがふわっと広がった
香水なんて付けていないのに何故だ!
「…………」
「…………」
「…………」
「…………しないの?」
「あ、っと……秋姉もやる?」
「ううん。……見せて?」
「アイアイサー!!」
緊張するぜ
十五分後
「……ふぅ」
ちょっと小腹が空いたな
「……お菓子」
さっとテーブルに差し出されるお煎餅
「うわぉっ!? ……あ、ありがと……」
いつの間に!?
更に二十分
肩凝ったな……
腕を軽く回して……
「あふぁ……って秋姉!?」
「……かたもみ」
いつの間に秋姉が、俺の後ろに立ち、肩を揉んでくれていた
「い、いいよ、そんなことしなくても」
「……ん」
秋姉は再び俺の隣に座る
そして更に更に三十分
「……ふわ~」
なんか眠くなってきた
「そろそろ止めようかな」
「……うん。お疲れ様」
秋姉は、いつの間にか持っていた濡れタオルを俺に渡す
「あ、ありがとう」
本当、いつ動いているんだろ? 不思議だ
冷たく冷えた濡れタオルで、気持ち良く顔を拭きながら姉の謎を考える
「……恭介」
「うん?」
「面白かったよ。ありがとう」
そう言って、優しく微笑む秋姉
「…………どうでもいいや」
「え?」
秋姉は最高! それだけだぜ
今日の目薬
秋>>>>俺
続きむら