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第83話:春の変化

親父がいなくなり、早二月。最近、どうも春菜の様子がおかしい


「兄貴、一緒に学校行こうぜ〜」


「……ああ」


部活の朝練が無い日は、良く登校を誘う様になった春菜。以前は誘っても断っていた癖に……


「今日も暑いな!」


「そうだな」


まだ八時前だと言うのに、空に爛々と輝く太陽。今日も快晴だ


「兄貴は今日、何時帰るんだ?」


そう聞きつつ、春菜は俺の左腕を取り、組む


「お前ね……四時過ぎぐらいだな」


「私は六時過ぎだけど、待ってても良いんだ」


「いや、待たんから。先に帰るから」


「そっか!」


「ま、夏だし六時ならまだ明るいから大丈夫だと思うが、気をつけて帰れよ」


「ああ! と、夏と言えばこの間のプール楽しかったな!」


「ああ、まぁ」


俺は忙しかったけど


「また行こうぜ!」


「ああってかテンション高いな、お前」


「今度の日曜日でも良いぞ」


「早くね!?」


「遊園地でも良いし」


「どっか行くのは決定なのか!?」


「家でゲームする?」


「いや、何でも良いけどよ……」


「じゃあ遊園地な! やった!!」


「……いや、まぁ良いけどよ」


金、あまり無いんだよな


「ほら兄貴、あ〜ん」


「はぁ!?」


「お礼に飴やるよ」


「あ、ああ、ありがとよ」


飴を受け取ろうと手を出すと、


「口に入れてやるって。ほら」


拒否されました


「あ、ああ」


「へへ! ん? 兄貴、目やに付いてるぞ。だらしねーなー」


「お、そうか」


「違う、違う右じゃなくて左。たく、しょーがねーな」


春菜は苦笑いをし、俺の目元に指を伸ばした


「って、良いって! 自分で取れるって!!」


慌てて左目を擦る


「……取れたか?」


「どれどれ……」


そう聞くと、春菜は俺の顔を見上げ、ジーっと見る


「…………」


「…………な、なにさ?」


「うん、カッコイイぜ兄貴!」


「はぁ!?」


「私はどうだ? 可愛いか?」


「だ、大丈夫かお前」


「ん? 何が?」


「あ、いや……か、可愛いぜ春菜」


「サンキュ!」


超にっこりだ


ここ最近、微妙におかしいと思っていたが、今日は特におかしい……悪い物でも食ったか?


「……春菜」


「なんだ、兄貴」


声を掛けると、嬉しそうに俺を見つめる春菜君


……まてよ、この感じはもしかして


「親父か!」


「ん? なんだ、兄貴?」


「い、いや、何でもない……」


そうだ。これは春菜が親父に接する時の甘え方だ。……寂しいのか?


「……よしよし」


空いた手で、春菜の頭を撫でてやる。このぐらいしか出来ないけど、俺は傍に居るからな


「ん? へへ!」


春菜は組んだ腕にギュッと身体を寄せて、


「最近、父ちゃんの匂いに似てきたな、兄貴!」




今日のショック



「あんた、アタシのシャンプー使ったわね!?」


「だ、だって仕方ないじゃないか! 姉ちゃんと同じ匂いになりたかったんだ!!」


「こ、この変態が!!」


廿楽


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