表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
146/518

秋の水泳教室 4

睨む姉を無視し、俺はプールの隅っこで足をちゃぷちゃぷさせている雪葉の元へと行く


「雪葉」


「あ、お兄ちゃん」


雪葉はホッとした様に言う


「どうした雪……葉?」


声を掛けるまで気づかなかったが、雪葉の半径5メートル内に数人の監視者がいる


「ううん、分からない。……少し怖い」


雪葉は怯えた声を出し、ギュッと俺の足に抱いた


「何だか良く分からないが……大丈夫だ。何があっても、兄ちゃんが守るからな」


「お兄ちゃん……」


「いや、兄は俺だ!」


「いやいや、僕も兄だ!!」


「いやいやいや、私こそが兄だ!!!」


兄妹の感動的なシーンの最中、遠巻きだった周りは突然俺達に向かって集まり出す。目は血走り、声も上擦っている


少しと言うか、かなり怖い


「…………ず、随分兄弟が増えたな、雪葉」


「ゆ、雪葉の知らない人達だよ?」


「妹~妹~」


「うふふ~妹だ~僕の妹だ~」


「お兄ちゃんと呼んでおくれ~お兄ちゃんだよ雪葉ちゃ~ん」


「お、お兄ちゃ……」


怯える雪葉。此処は俺が守らなくては!


「ゆ、ゆ、ゆ、雪葉にち、ち、ち、近寄、よ、よよ」


「い~も~う~と~」


「あ~あ~あ~」


「あ~お~あ~お~」


水中からゾンビの様に手を伸ばす変人ども


恐すぎる!!


「待ちたまえ!」


その時、プール内にヒーローの声が響いた!


「誰だ!」


「何処に居る!?」


「あ! あそこだ~!」


変人どもの指差す方を見ると、入口からブーメランビキニの紳士が現れた。股間様がはみ出ている


「な、何者だ、あの紳士は!?」


「あ、あれはSISTER愛好会一番隊隊長、山口 真さん!?」


「此処は私が仕切ろう」


颯爽と歩む股間様。変態だ


「つ、遂にNIGHTが現れおった……現れおったぞ~」


「我等を導いて下され~」


盛り上がる彼ら


「…………」


「…………」


無言の僕ら


「……行こうか雪葉」


「……うん、お兄ちゃん」


とりあえず警察に連絡しておこう



「我等は自由の騎士だ! 例えば身体は縛られても心は縛られん!」


「はいはい、いい子でちゅね~。臭いメシ食って早く社会復帰するのでちゅよ~」


10分後、寝そべっている夏紀姉ちゃんの側でトロピカルジュースとアイスを食べながら拘束される騎士達を見送る


「平和だね~」


「お兄ちゃん、あ~ん」


「こ、こら恥ずかしいじゃないか!」


「この間の仕返し♪」


「……ふふ、参ったな」


照れながら口を開けて、雪葉のスプーンからアイスを食べると……


「……アンタらってつくづく大物よね」


姉が呆れていました

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ