秋の水泳教室 2
米に文字を描くような繊細さで姉の身体にオイルを塗る事に成功した俺
夏紀姉ちゃんは途中で寝てしまったので、後は放置しておこう
「さてと……」
つっこむべきか、どうするか……
先程からプール端で体育座りをしているもう一人の姉を見て、俺は悩む
「…………よし」
一応言っておいた方が良いだろう。もしこの先、秋姉が誰かにプールへ誘われた時、恥をかいてしまうかもしれない
「あ、秋姉?」
近づき声をかけると、秋姉は顔を少し上げて俺を見つめ、どうしたの? と、微笑んだ
「……死ねる」
「え?」
「あ、いや! そうじゃなくて……あ、秋姉?」
「なに?」
「な、なんでスクール水着なの?」
「ん、学校指定。変……かな?」
自分の胸元を見て、少し困ったように言う秋姉
「へ、変じゃないよ! や、やっは時代は学校指定だよね~」
ええじゃないかスクール水着! 文句があるなら文部省に言えや!!
「……よかった。私、プールに来たこと無いから、変なのかもって思った」
そう、秋姉は俺が知っている限りプールや海に行った事が無い。もっとも俺も余り無いけど
「良く似合ってるよ、秋姉」
何となくエロく見えるのは、俺の邪念のせいだ
「……ありがとう、恭介」
にこっ
「グワアアアア!」
太陽の下で見る秋姉の微笑みは、吸血鬼すら溶かす
「き、恭介!?」
「だ、大丈夫、大丈夫」
危うく灰になる所だったが……
「……本当に大丈夫?」
「う、うん。げ、元気一杯さ!」
吃る俺を、秋姉は上目使いで心配そうに見て……
「貴方に何かあったら……やだよ?」
「逝ってきまーす!」
灰になる前にプールへ飛び込みました