院のため息 3
「はい、お待たせの雑巾ですよ」
待つこと一分。綾さんが雑巾を持って戻って来た
「よいしょっと」
「い、いや俺が拭きますよ!」
しゃがみ込み、床を拭き始めた綾さんを慌てて止める
「たいした事じゃないですから」
きゅっきゅっと素早く床を拭き、「ほらね」っと綾さんは笑った。変な人だと思ってたけど、意外といい人やな~
「ありがとうございます、綾さん」
「お礼は身体で良いですよ」
「随分割が合わないですね!?」
「あはは。やっぱり佐藤君は可愛いですね、うんうん」
「むう」
からかわれているぜ
「さーってと、そろそろお仕事に戻ろうかな」
「あ、言うのを忘れていましたが、宗院さんがもう帰っても良いと言ってましたよ。バイト代は預かっておくって」
「そうですか、たまには眼鏡も気が利きますね。それじゃお仕事は眼鏡に任せて、途中まで一緒に帰っちゃいましょうか」
「良いですよ。秋姉もそろそろ……あ、来た」
小走りでこちらへ向かってくる秋姉。可憐だ……
「……恭介」
「え? あ……」
秋姉は俺に近寄り、濡れたハンカチで服を拭いてくれた
「あ、ありがとう」
「ん。……染みにはならないと思う」
「う、うん」
流石に少し恥ずかしい
「お二人は仲が良いですね。私にも兄弟が居たりしますが、余り話したりしませんので、ちょっと羨ましいです」
「普通はそんなもんかもしれませんね。うちは親父や母ちゃんの影響を受けたのか、家族を大切にって言う想いが人より強いのかも」
断じてシスコンでは無い!
「ん……大切」
にこっ
「グハァ!」
膝をつく俺。ノックアウト寸前だ
「だ、大丈夫?」
「へ、平気……」
後少しでK0だったけど
「……ん」
「あ、ありがとう」
秋姉が差し出してくれた手を掴み、ふらふらと立ち上がる
「……くすくす」
そんな俺を見て、綾さんはニコニコしていた
「私、お二人の事、何だか凄く好きになりそうです」
「え? そ、そう?」
何か良いところ有ったか? 特に無いような……
「はい! 私とお友達になってほしいです」
「あ……。ふふ」
見ると心が暖かくなるような素敵な笑顔を向けられてしまったら、俺達の返事は一つしか無い
「ええ、喜んで!」
今日の腰痛
院>>夏>>>>俺>>>>徳>>>秋
つづかみ