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夏の白雪姫 6

《食事はつつがなく終わり、白雪姫と小人さんは食後のアンニュイなダルさを楽しみま~す》


《あ~食べた、食べた。後はデザートが欲しいわね、リンゴとか》


《うん、そうだね白雪姫。なんだか不自然なぐらいにリンゴが食べたいね》


こんこん。効果音と共に、舞台の隅から黒づくめの魔女が現れた


《おや、誰だろうこんな森深くに》


《リンゴ……出張販売中》


黒いフードを深く被り、猫背になった秋姉。顔が見れないというのに、何故か美しい


《あら、丁度良いわね不自然なぐらい》


《そうだね白雪姫。不自然過ぎて逆に自然となってしまうぐらい不自然なタイミングだね》


《怪しいけどリンゴが食べたいわ、どうしょうもなく》


《そうだね、怪しいけど食べたいね。今出るよ》


ギギギギー。立て付けの悪い、木のドアを開けた時に出るような、効果音


《こんにちわ、リンゴ売りさん。全身真っ黒でとっても怪しいね》


《本当ね。まるで暗殺者みたい》


《……ん、リンゴ》


魔女は持っていたバスケットからリンゴを取り出した


《美味しい毒リンゴ……。たんとお食べ》


もう秋姉ったら正直すぎ!


《あら、毒々しい紫色のリンゴ。まるで毒でも入ってるみたい》


《本当だね、白雪姫。これに毒が入ってなかったら、何に入れるんだって感じだね》


《……早く食べないと賞味期限が過ぎる》


《あら、そうね。では食べましょう》


《うん。あ~ん》


二人は同時にリンゴをまるかじり


《あら、美味し……うぅ!?》


《あ……うぇえ》


小人と白雪姫は、苦悶の表情を浮かべ、バッタリと倒れた


《……にやり》


魔女が黒いフードを脱ぐと、あら不思議超絶美人の王妃様!


《お、お前は王妃……よ、よくも白雪姫に毒を》


《食べる方が馬鹿。馬鹿は死ななきゃ治らない》


魔女は汚物を見るような目で、白雪姫を見下ろす。久しぶりに見るブラック秋姉だ!


《ち、ちょっと。その目、本当に傷付くんだけど……》


《…………》


《し、芝居よね?》


《……にやり》


魔女は意味深な笑みを浮かべながら舞台から退場。舞台に残されたのは、瀕死の白雪姫と小人さん


《肯定してよ……ガク》


意識を失う白雪姫。その白雪姫を見て、小人さんは最後の力で呪言を吐く


《……お、おのれ王妃め。この怨み、晴らさずおくべきか》


ポポン、ポポポンという和鼓の音と共に、オカメのお面が外れ、恐ろしい形相の般若へと変わり……


「って、だから設定がおかしい事に誰か気付こうよ!」


《…………ガク》


小人さんと白雪姫は完全に動かなくなってしまい、同時に照明が消え、舞台が変わる。いよいよ俺の出番だ!

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