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夏の白雪姫 5

《さてさてそのころ白雪姫は》


照明が切れ、穏やかな音楽が鳴り響く。その間に舞台は城から森へと変わった


「お、雪葉の出番か」


森の小人役。ふ、さぞ可愛い事だろう


《ハイホーハイホー、今日はいい天気だなぁ》


雪葉は明るく、かわいらしい口調で舞台上に出てきた。

 緑色のシャツに短パンをはき、紙や発泡スチロールで作られた髪飾りに弓を持つ姿は、顔に被っているオカメの面と良くあってって


「可愛くねぇ!!」


何でオカメやねん!


「老け顔のお面、あれしか無かったのよ~」


「だから老け顔にする必要無いでしょう!」


「あら~でも気に入ってくれたわよ~」


《ハイホ~♪》


あれ、本当だ


機嫌良さげな雪葉は、腰袋からダンボールで作られたナタと、目がバッテンになっている森の動物さんを取り出し、不気味に呟く


《ふふふ、もうすぐ我が家。白雪姫にこの血が滴る生肉をプレゼントしょう》


「だから小人の設定おかしいよ!」


「あら~でも気に入ってくれたわよ~」


《なっまにく、なっまにっく~♪》


「ゆ、雪葉、お前……」


ストレスが溜まっているのだろうか?


《やっと家に着いた~、白雪姫~》


《何よ、うるさいわね》


舞台袖から気だるそうな口調とともに現れる白雪姫


白いシルクのドレスは、こぼれてしまいそうなぐらい胸元を大胆に開けたデザイン。スカートは膝上15センチのミニスカートに足には黒いガーターベルト着け、髪をまとめてアップにしている


こんなにエロイ白雪姫を俺は知らない


うお~


唖然としながら見ていると、この日一番の大歓声がオッサン達から沸く


「夏紀様、最高!」


「こっち向いてくだされ夏紀姫~」


舞台を一瞬にしてストリップ会場のノリにして下さりやがりました夏紀姉ちゃんは、面倒臭そうに手を振った


「いや~やっぱり夏紀ちゃんは色っぽいな」


「わしも後、五十年若ければ……」


オッサン共は口々に夏紀姉ちゃんを褒めるが、貴方達の横で睨んでいらっしゃる奥様方に気付いた方が良いと思いますよ


《こんにちは、白雪姫。お昼に生肉を捕ってきたよ》


《あたしは生じゃ食べないわよ、ミディアムにしなさい。塩と胡椒で味付けして、薄切りのガーリックとポテト、甘いニンジンを付けるのよ》


注文が多いな


《スープは鮭を主役とし、チーズと玉ねぎを加えたホワイトソースの物で宜しいですか?》


《良いわ、それで。ワインは白を食前に。ミアーニはあるかしら?》


《ウィ、マダム。ソーヴィニョンの2006年があります》


《ならそれで》


《承りました》


……此処、どこのレストラン?



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