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第11話:秋の夕暮れ

「ただいま〜」


学校が終わり、俺は家へと帰って来た


「誰も居ないのかな?」


家の中は静まり返っていて返事が無い


まぁ静かな家もたまには良いか


俺はキッチンへ行き、冷蔵庫から牛乳を取り出してリビングのソファーへ座った


「牛乳、牛乳、牛乳だーとくりゃ」


パックに口をつけ一息に!


「…………おかえり」


「ブホォ!!」


「……大丈夫?」


秋姉はキッチンから雑巾を持って来て床を拭く


「あ、秋姉! 一体どこから!?」


「? ………ん」


秋姉はベランダを指差した


「あ、ベ、ベランダに居たんだ」


我が姉ながら気配が無い人だ


俺が戸惑っている間に秋姉は、牛乳の飛び散った床やテーブルを拭き、そのまま洗面所へ雑巾を洗いに行こうとする


「あ、ごめん、秋姉。後は俺がやるよ。ありがとう」


「ん」


俺は秋姉から雑巾を受け取り、洗いに行った



「さて、洗い終った、と」


リビングへ戻ると秋姉の姿は無く、俺はベランダと出てみる


ベランダでは、三人掛けのベンチに座った秋姉が、ボンヤリと庭を見ていた


「横座ってもいい?」


「ん」


秋姉の横に座ると、秋姉が何を見ていたのか分かる


「ウグイスかい?」


「…………うん」


秋姉は静かに頷く


秋姉の側はいつも静かで穏やかだ。余計な言葉はいらない


俺も同じ様に、ボンヤリとウグイスを見ていた



…………………………………………………………………………………あれ?



いつの間に寝てしまったのか、目を開けると空は夕暮れ時になっており、俺の頭は横になっていた


体にはカーディガンがかけられている


「………おきた?」


「……え? あ……」


体と顔を仰向けにすると、上から覗き込む秋姉の顔


頭の下には柔らかい枕って


「ご、ごめん秋姉」


「………気にしないで」


秋姉は俺の頭を優しく撫でる


「……なんか懐かしいな」


昔、風邪を引いた時もこうして秋姉は頭を撫でてくれたものだ


「………変わらない」


「え?」


「………甘えっ子」


「……敵わないな、秋姉には」


俺は起き上がり、伸びをする


「カーディガン、ありがとう。寒く無かった」


秋姉は首を振り、微笑んだ



「ただいま〜」


「お、母ちゃん帰ってきたな」


「ただいま!」


「帰ったわよ」


「しゃー腹減ったー!」


次々と帰ってくる家族達


「…………あ」


秋姉が指差す


「うん? あ」


指に釣られて見たその場所には、先程のウグイスの横に、いつ来たのか別のウグイスが並び、頭を重ね預けていた


「…………入ろ?」


「ああ」


俺達は、リビングへと戻る


「…………ね」


「ん?」


「たべたいものある?」


「え!?」


「……作る」


「………………はい」




今日の正露丸


俺>>>>>>>>夏>>>雪>>父>春≧母≧秋



つづく。と思う

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