雪の乙女 2
「兄ちゃん、焼きトウモロコシ2つ」
「は、はい」
怯える店員から熱々の焼きトウモロコシを購入して、雪葉の元へ
「ほら雪葉、焼きトウモロコシだぞ」
「……うん」
テンションが超低い
「ま、まるかじり~」
「うん。……あむ」
一応食べてくれてはいるが、明らかに傷ついている。もっと優しく注意するべきだった……
しかし雪葉は、どこであんな言葉を覚えて来たんだ?
「ワオ! ルーシー、君はヴァージンだね!!」
疑問に思っていると胡散臭い日本語を話す、やけに陽気な外国人カップルが現れた
「何を言ってるのよ、このド変態!!」
「おいおい、勘違いしないでくれよ。ヴァージンと言うのはラテン語では乙女と言う意味で」
謎の外国人カップルの会話と、雪葉が読んでいた本の表紙を見て、理解する
「聖母マリア様の乙女日記……好きなのか、マリア様」
「……うん」
「ごめんな、雪葉。兄ちゃん勘違いしていたよ。雪葉は紛れも無くバージンだ」
「本当?」
「あ、ああ……立派な乙女だぞ」
「雪葉、バージンで良いの?」
「う、う~ん……。まぁ良い……のかな?」
「雪葉、バージン?」
「あ、ああ、素敵なバージンさ」
「そっかぁ、雪葉、やっぱりバージンなんだ」
「ま、まぁそうだな。でも人前で言ったら駄目だからな?」
「うん! お兄ちゃんだけにするね、バージン使うの」
「あいつです、お巡りさん! あいつが女の子に卑猥な言葉を言わせて喜んでいた変態です!!」
いつの間にか屋台から離れていたトウモロコシ屋の兄ちゃん。組織の犬を引き連れて公園へ戻って来た
「…………やっぱり来たか」
予想はしていたさ
「どこのどいつだこんな昼間っから……ん? 貴様か!?」
「こんにちは、さようなら」
逃げ出す俺
「ま、待て~」
追う組織の犬
「お、お兄ちゃん!?」
戸惑う雪葉
俺達は、いつもの様にトムとジェリーの如く公園内を走り回ったって
「あ~面倒臭いな! 雪葉、作戦2だ!!」
作戦2。それは禁断の技
「うん! …………あ、もしもし、お巡りさんですか? 今、お兄ちゃんが変な人に追われているの、助けて!」
10分後
「ち、違う! 私は無実だ!!」
「犯罪者は皆そう言うんだよ! ほら、とっとと車に乗れ変態が!!」
「違うんだ~!!」
手錠を掛けられ、パトカーに乗せられる組織の犬……やり過ぎたかな?
「大丈夫だった? お兄ちゃん」
「ああ、助かったよ。作戦2【警察を呼ぶ】成功だな、ありがとう雪葉」
「……えへ」
「さて、と。サンドイッチでも食べようか」
「うん!」
今日の始末書(2枚目)
犬
所得