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第68話:母のアルバム

「夏紀姉ちゃんは母ちゃん似だよね」


「雪とあんたは父さん似かしら」


夕食の後、リビングでテレビを見ながら俺と夏紀姉ちゃんはそんな話しで盛り上がていた


「なぁ、私は?」


その話を聞き、春菜が話に混じって来る


「あんたは……母さんの方に似てるわね」


「だな」


脳天気な所なんてそっくりだ


「母ちゃん似かぁ。秋姉ちゃんはどっちだろ?」


「………………」


何となく聞いていたのだろう、テーブルの椅子に座っていた秋姉の身体がピクンと跳ねる


「あ、秋姉は……」


助けて夏紀姉ちゃん~


「ア、アキは……」


アンタが答えなさいよ!


そんなアイコンタクトをしている俺達を、秋姉はじっと見ている


「…………う」

「…………う」


秋姉が何を聞きたがっているかは、直ぐに分かった。だが……


「……私は」


「そ、そう言えば今日あれ見た?」


夏紀姉ちゃんは、いきなり話を振って来る。ナイスだぜ!


「み、見た、見た! スゲーよな~」


何が凄いのかさっぱり分からんが、俺達は話を変えようと必死だ


「…………ん。お皿洗って来る」


そう言い、秋姉は寂しそうにリビングを出ていく


「…………」


「…………」


気まずさと、申し訳なさで俺達のテンションは、がた落ち。しかし……


「…………どっちだと思う?」

「…………さっぱり分からないわ」


ぶっちゃけ秋姉は、どちらにも似ていないのだ


「お兄ちゃん、お姉ちゃん、お風呂空いたよ~」


姉弟で悩んでいると、寝巻き姿の雪葉が、髪をタオルでふきながら俺達にお知らせしてくれた


「お、サンキュー」


「うん!」


笑顔を見せながら、雪葉は自分の部屋へと戻る


ふ、可愛い奴め


「姉ちゃん先入れば?」


可愛くない姉に言ってみる


「そうね……覗いたら殺すわよ?」


「覗くか!」


この女の頭の中で俺は、どんな変態に思われているんだ?


「どうだか」


「じゃ俺が先に」


「アタシが入る。……本当に殺すわよ?」


「だから覗かないって言ってるだろ? 夏紀姉ちゃんの風呂なんて金貰っても……の、覗きたいで~す」


ゴキリと音が鳴る程強く拳を握った姉を前にしては、そう答えるしか無かった


「ふん、やっぱりね。春菜、このド変態を見張ってなさい」


「は~い」


春菜は適当に返事をしたが、夏紀姉ちゃんは満足したらしくドカドカとリビングを出て行った


「…………はぁ」


最近、ため息が増えたな俺……


「大変だな、兄貴も」


「しみじみ言わないでくれません?」


悲しくなってしまう


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