花の説教 2
「おっと、貴様の家の人にも来てもらわんとな。電話番号は?」
組織の犬は、思い出したかの様に尋ねてきた
「俺の家族?」
「ああ。きっちり話しておかんと…………どうした?」
俺の家族……
『ア、アンタ遂に……いつかはやると思っていたけど……もう表を出歩けないわ!』
な、夏紀姉ちゃん! 俺は無実でって、そんな目で俺を見てたのかよ!?
『……最低だな兄貴は。いやもう兄貴じゃない、ただの変態だ! 二度と顔を見せるな変態!!』
は、春菜……
『ゆ、雪葉よりちっちゃい子に……お、お兄ちゃんのロリコン! 死んじゃえ!!』
ち、違うぞ雪葉! 俺はただの姉好きであって、ロリコンなんかじゃ無いんだ! 母ちゃんは信じてくれるよな!?
『死んじゃえ~』
か、母ちゃんまで……秋姉は!? 秋姉だけは俺の無実を信じて
『…………無理』
「…………ははははは」
「な、なんだ? 何を笑っている!?」
「……終わったのさ。何もかもがな」
「ど、どうしたんだ本当に?」
「ふふ、もう俺には何も無いんですよ。何もね」
「ほっほ。若いのに投げやりになってしまってはいけないよ。君には未来があるじゃないか」
未来? 博物館ですか?
「良いかね? 君が罪を犯した事は確かだが、それをきちんと償い、反省をし、日々真面目に生きてゆけば君には輝かしい未来が……」
「ふふ」
「……何がおかしいのかね?」
「過去も未来も今、この時さえも僕は捨てましたよ。さぁ、捕まえて下さい。僕は姉好きのロリコンで、死んじゃった方が良いただの変態です」
「こ、この少年にある心の闇は…………深い!」
「じ、巡査部長殿! 私はとんでもない怪物を捕まえてしまったのかも知れません!!」
「ふふふ」
この深い絶望で世界を飲み込んでやるぜ
「なづな~!!」
「ぐはぁ!?」
入口付近の椅子に座っていた俺は、突然横から体当たりを食らい、日向君の強引なドリブルを受けた石碕君並に吹っ飛んだ
「あ……お姉ちゃん……お姉ちゃん!」
「なづな!」
抱きしめ合う姉妹。なんと感動的なのだろう、天地が逆じゃなければ俺も号泣していた所だ
「もう大丈夫だからね」
「うん……うん!」
しかし良く似ている姉妹だ。若干カールが掛かった長い髪といい、背格好といい……ん? …………げ
「……なづな。無事で良かったぁ……で、チカンは何処よ!」
唖然とする組織の犬達に噛み付きそうな勢いで尋ねる
「あ、は、はい。……先程貴女が吹っ飛ばした奴がそうです」
勢いに飲まれた組織の犬は、唖然としたまま俺を指差した
「絶対許さないか………………ら?」
「やあ、こんにちは。色々言いたい事はあるだろうけど、先ずは僕のお話を聞いてみないかい?」
振り向いた花梨に、今年一番爽やかな顔を見せる
「な、な……」
ナオミ・キャンベル?
「何やってるのよアンタは~!!」
その声は一キロ先の公園まで響き、そこで遊んでいた花梨の弟が、いきなり謝ったと言う