月のわんこ 5
病院に着いて二十分。寝むったタロをカゴに入れて、右手に持つ
「ありがとうございました」
「ありがとう、先生」
「ああ。また何かあれば来いよ」
「待ってるわぁ」
ピンクナースは、やはりキャバクラみたいだった
もう一度お礼を言い、病院から出る。
美月の家は此処から三十分程度の場所にあり、俺達は歩いて帰る事にした
「兄ちゃん達に、いっぱい迷惑掛けたよね……。ごめんなさい」
帰り道の途中、沈んでいた美月が、元気なく言う
「気にするなよ、友達だろ?」
「でも……」
「良いって、良いって。あ、お金の事も気にするんじゃないぞ? 母ちゃんには俺が返しておくから」
「え!? だ、駄目だよ兄ちゃん!」
「な~に、ほんのちょっと俺の莫大な預金を下ろすだけだ」
一万か……日払いのアルバイト探そ
「だからいつまでもしょげてないで、いつもの元気で可愛い美月に戻ってくれな?」
「兄ちゃん……。こんなに優しいのに、なんで嫌われてるんだろ」
「嫌われてる?」
「うん……兄ちゃん女の子にモテないんだよね。女の子の敵で、女の子みんなに嫌われてるって」
「……誰が言ってるか聞いても宜しいですか?」
予想はつくが
「うん? 花梨だよ」
「……あいつとは一度ゆっくり話し合う必要があるな」
四、五時間ぐらい正座で
「女の子に嫌われてても大丈夫だよ兄ちゃん。アタシ、兄ちゃんの事大好きだから」
屈託の無い笑顔で、美月は言った
「こ、こりゃどうも」
何か照れてしまうな
「これからも仲良くしてね?」
「……ふふ。ああ!」
「うん! ……手、繋いで良い?」
「おうよ」
「ありがとう!」
ギュっと俺の左手を握る美月を見て、タロがワンワンと吠えた
「だから何故吠える!」
「ご、ごめんね、兄ちゃん。……余り吠える子じゃ無いんだけど、おかしいなぁ」
なるほど、俺を目の敵にしている訳ですか……
ま、何にしても
「元気になって良かったなタロ!」
「ワン!」
今日の好感度
月>>>>>花>>>>>>>椿>母>>>>>>猫>髭>>俺
鼓ヶ浦