第65話:夏の地獄
「おぃっす!」
月曜日の真夜中。寝ていた僕の部屋に、やけに陽気ないかりや……もとい姉が来ました
「な、なんだよ? 寝てるんだぞ!」
「なに~、姉が起きてるのに弟が寝てるだと~」
僕の姉は弟を語るジャギ様のように憤り、ベットから布団を剥ぎ取ります
「な、何を」
「姉より先に寝る弟なんて存在しないのよ!」
いや、もう理不尽とかそういうレベル越えてません?
「ご、ごめん」
だが謝ってしまう俺が可愛い
「うぃっく……良いわよ別に。どうせアタシなんて……」
突然テンションが下がる夏紀姉ちゃん。Level 3かな
「ど、どうしたの? 何か嫌な事でも?」
「アタシなんてハワイじゃない? だから大王なのよ!!」
れ、Level 7だと!?
「南の~国の大王は、ほれ」
「そ、その名も高きカメハメハ」
「カメ……あんたのカメ見せなさい」
「はい?」
「アンタの股に一匹飼っているでしょうが! うひゃひゃひゃひゃ」
「…………」
「…………」
呆れ顔で見ていると、夏紀姉ちゃんは急に無口になった。気持ちが通じてくれたのだろうか
「……きもぢわるい」
「…………え?」
「うぃ~」
夏紀姉ちゃんはフラフラと俺の側に近寄り……
「……って、ちょっと待って! この展開は定番の!?」
「う~……お」
大変お見苦しい展開になりました。今暫くお待ち下さい
「うぅ……グス」
夜中の二時。姉が吐き散らかした汚物を泣きながら掃除する俺
姉ですか? 寝ていますよスヤスヤと
「うぃ~酒~向かい酒持ってこ~い」
「……なんつー寝言だ」
「…………うぐ」
起き上がる姉
「ひぃ!?」
怯える俺
「……脱ぐ」
履いているスカートに手を掛ける姉。目は既に肉食のソレとなっている
「……な、夏紀姉…………様?」
「脱がせ~」
「ひぃ!?」
牙を向き、俺に襲い掛かる獣
獣は何故か俺のパジャマを脱がそうと、引っ張りやがった
「ち、ちょっと! や、止めて!?」
「良いでは無いか、良いではないか~」
「い、いやあああ!」
※
チュンチュン、チュンチュン……
「な、何してるのよアンタは!?」
バタバタバタバタ!!
スズメも逃げ出す咆哮で目を覚ます俺。だが、辺りは真っ暗で、何も見えない
「う……こ、此処は」
地獄?
「…………ぐえ!?」
太い蛇のような物に、首を締め付けられる。一体何事!?
「あ、姉の股に顔を突っ込んで寝るなんて……遂に此処まで堕ちたのね」
怒りと諦め。そして憐憫を感じさせる声
「……アタシの責任ね。アンタが狂ったのは、この美しい姉が居たから」
哀しそうに呟く夏紀姉ちゃん。しかし、締め付ける力は全く緩まない
「ね、姉……ちゃん?」
「いいよ、責任取ってあげる……。さ、姉ちゃんと一緒に逝きましょう」
「よ、酔ってるね? まだ少し酔ってるね!?」
このネガティブさはLevel 3か!
「…………酔ってないわよ?」
カラン
ベットの上から床へ、何かが転がる
「おっとアタシのヘネシーが……」
「あ、あの後、また飲んだなアンタ!?」
「股に突っ込んでるのはアンタでしょうが!! うひゃひゃひゃひゃ」
れ、Level 7!?
「た、助け……うぷ!」
口元を股で塞がれた。召喚の呪文が唱えられない
「呼ばせないわよ~」
「ん~んん~」
「さ~、お姉たんと遊びましょうね~」
Level 8!?
「い…………いやぁ」
「ん~可愛い~! も~大好き!!」
そして地獄が始まる
今日のドS
夏>>>>>>>>>>>>母>>>>>雪>秋>>>俺
つとむ