第63話:雪の科学
「お兄ちゃん、雪葉と雲作ろ?」
日曜日の昼下がり、僕の部屋に来た妹が奇妙な事を言って来ました
「蜘蛛ねぇ。……折り紙か何かで作るのか?」
雪葉は虫を嫌がる子じゃ無いけれど、蜘蛛とゴッキーさんだけは苦手だったのに……。ふ、これが成長か
「うんん。ペットボトルで作るんだよ」
「ペットボトル?」
「うん」
「……雪葉。ペットって付いているけど、ペットボトルはペットを飼うボトルでは無いんだよ」
「うん?」
諭す様に言うと雪葉は首を捻り
「ペットボトルは和製英語で、動物さんのペットとは関係無いよ? お兄ちゃん」
と、優しく教えて下さいました
10分後
「雪葉と!」
「お兄ちゃんの」
「ドキドキ科学実験コーナー」
「こ、コーナー」
俺の部屋で突然始まったN〇K番組。今日はペットボトルで雲を作る実験だぜ!
……いい歳して何をやっているのだろう俺は
「じゃあ、お兄ちゃんせんせ。お湯の温度を測って下さい」
「はい、雪葉助手」
雪葉に言われた通り、ボールに入れたお湯の温度を測る俺。
てか何故俺が先生なのだろうか? ……先生っぽくしてみるか
「出来たぞよ雪葉助手」
「はい、せんせ! それじゃ、お湯をこのペットボトルに入れて下さい」
「うむ。……これで良いかね」
「はい! 次にマッチでお線香に火をつけて、煙を5秒……お兄ちゃん、お願いして良い?」
マッチと線香を持って、遠慮がちに聞く雪葉助手
普段は火を使う事を禁止されているからか、火を使うのを躊躇ってしまうらしい
「お任せあれ」
マッチと線香を受け取り、ペットボトルに煙を送る
「ありがとう! それじゃペットボトルのフタをきつくしめて、煙が消えるように上下に振って下さい」
「はいざんす」
言われた通り何度か振ると煙は消え、無色透明となった
「今です! 両手でペットボトルを押して、お兄ちゃん!」
「は、はい!」
ペットボトルをキュっと押す
「素早く力を抜いて、お兄ちゃん!!」
「は、はぃい!!」
力を抜くと、ペットボトルが曇り出す。これが
「これが雲です。……やったぁ!」
「ほう、これが雲か……成功だな、雪葉助手!」
「はい、せんせ♪」
今日の科学
俺Ω雪β
続