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第60話:俺のおかげ

試合が終わり、一時間。車で帰る母ちゃん達(雪葉は青ざめていたが…)を見送り、俺は一人公園のベンチで余韻に浸っていた


そんな俺の元へ余裕の表情を浮かべる宗院さんが近付いて来る。

 目が泳いでいるのは指摘しないであげよう


「負けましたよ佐藤君」


「俺も騙されました。上段はフェイクだったんですね?」


「あわよくば上段で一本取りたかったのですけどね。もう少し動揺してくれると思っていました」


「試合中、秋姉は動揺しないよ」


集中力が半端じゃないからな


「ん…………でも、びっくりし」


「……君は秋さんを本当に信じているのですね。休憩時間中、秋さんに上段の事を伝えなかったのでしょう?」


「…………ま、まぁね。俺は秋姉を信じているからな」


忘れてたとは言えない


「……ありが」


「しかし…………ハァ」


魂まで出てきそうな溜息だ


「二年連続で負けてしまいましたし、新しい職場を探さないといけませんねぇ」


「クビですか?」


「ストレートですねぇ。……個人戦が終わるまでは居ます。個人戦、優勝逃しませんよ」


「秋姉は強いよ?」


「……ふふ」


「ふふふふ」


「ふふふふふふふ」


「ふふふふふふふふふ」


「……こちらにいらっしゃったのですか、セクシャル先生」


二人で不気味に笑いあっていると、黒くて長い髪が美しい美人が現れた。この人は…… 


「スペシャルね。と、言うかいつまで間違えるつもりなのですか、徳永さん」


「すみません。英語が苦手なもので」


「中間テスト、総合で学年5位でしたよね、君」


「マークシートでしたので」


「……コホン。紹介します佐藤君、この子が徳永です」


「徳永 綾音です。綾ちゃんと呼んでみて下さい」


「……あ、綾ちゃん?」


「なぁに? おに~ちゃん」


「…………」


「萌えました?」


「なにが!?」


「…………変な子ですみません」


「えっへん」


「なにこの会話!?」


誰か助けて下さい!


助けを求め、俺は左を見て


「うひょう!?」俺の左横には、いつの間に来たのか秋姉が居た。宗院さん達も目を丸くしている


「い、いつからそこに?」


「……さっきから居た」


ジト目の秋姉。や、やばい、拗ね始めている!


「は、話しに夢中になって気付かなかった~。ごめんね、秋姉」


「ん。……そろそろ帰ろう?」


「え? 部員の人達と帰るんじゃ……」


「みんなは先に……。貴方と一緒に帰りたかったから」


「う、うおおおおおおおおおおー!!」


ビックボーナス!


「……佐藤さん」


突然のボーナス浮かれている俺とは対象的に、静かな声で秋姉を呼ぶ徳永さん


「ん……徳永さん」


「…………ふぅ。負けました、秋さん。本当にお強いですね、改めて見るとめちゃくちゃ美人ですし」


「…………ん」


お、秋姉が照れてる。レアだ、写メの準備を!


「人生楽しくて仕方が無いでしょう、こんちくしょうめ!」


絡み始めた!?


「てゆーか私の突き、どうやって見破る事が出来たんですか!?」


「見破ってない……」


「え? で、ですが完璧に……」


「この子のおかげ」


「へ?」


お、俺ですか?


「……声、届いたよ。ありがとう恭介」


秋姉は穏やかに微笑み、そう言った


「……秋姉」


俺の方こそ、いつもありがとう。秋姉


「…………はぁ。なんだかもう、完全に負けたって感じです。そちらのパートナーは可愛い弟。こっちはセクシャル眼鏡ですからね」


「君ねぇ……」


珍しく褒められた!


「可愛いッスか俺!?」


「二人とも眼は死んでますけど」


「死んでないから!」


「そうですよ! まだ死んでません!!」


まだなんだ……


「まぁ、どっちでも良いです」


良くは無いけど……


「見たいアニメがありますので、私はもう帰りますが……秋さん。個人戦は負けませんよ」


「……ん。私も……負けない」


お互いの目を見つめ合う二人。火花が散る


こいつは個人戦も見に来ないと! ……学校サボって


「……個人戦、楽しみです。さて、帰るとしますか。眼鏡、車を用意して下さい」


「君ねえ……。それでは佐藤君、またお会いしましょう」


秋姉では無く、俺にそう言い、徳永さんと去って行く宗院さん。やはりホモ!?


「…………私達も」


「帰ろうか秋姉」



秋姉と自転車に乗って走る帰り道


防具や竹刀は顧問の先生が持って行ってくれたらしい。気が利く奴め


「……今日は」


「ん?」


「ありがとう」


背中越しに感じる、秋姉の温もりと感謝の気持ち


「気にしないで。俺も秋姉の勇ましい姿が見れて楽しかったから」


「ん…………ねぇ」


「ん?」


「今度一つだけ……してほしい事、何でもしてあげる」


その直後、僕が運転する自転車が電柱にぶつかった事は言うまでもありません




今日の怪我


俺>>>>>徳>>秋


続けるびん

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