[31話] Screw you !
Dow! Dow! Dow! Dow! Dow! Dow! Dow! Dow! Dow! Dow! Dow!
周囲を威圧するかの如く、.50口径の連射音が鳴り響く。
俺の愛銃《QBU10+1》は対物ライフルなどではなく、全自動射撃機構を有する規格外サイズの自動小銃こそがその正体。
生身では絶対に制御不能な反動を《オーバーブースト》が強引に抑え込む。
全身の筋肉と関節が盛大に軋むが、この瞬間、何に替えてでも為すべきは明白であり、苦痛などは些事に過ぎなかった。
「くたばれ!」
タングステン弾芯と焼夷剤を内包する焼夷徹甲弾が、600発/分の発射速度で怪物に襲いかかる。
――千切れ飛び、血液を撒き散らす手脚。
――装甲を貫通して飛び散る火花。
――被弾箇所から一気に噴き出す焼夷剤の炎。
轟音が鳴り止まないインカムに対し、モニターにはボンヤリとした暗視映像。
まるでコンバットシムじみた非現実感を伴い、破壊の限りが尽くされていく。
Dow! Dow! Dow! Dow! Dow!
射撃開始から僅か数秒、発砲音が唐突に止んだ。
“装弾不良?”
反射的にチャージングハンドルを前後させて排莢操作。すかさずトリガーを引くが愛銃は沈黙をもって応える。
弾倉にも薬室にも残弾無し、20発全弾を撃ち切ったらしい。
再び塵埃が舞い戻る中、嗅覚を刺すのは硝煙と焦げたガンオイルの臭い。
稼働限界を超過した《オーバーブースト》は強制終了。代わりに、酷使された人工筋肉を循環することで煮え滾った《化学血液》の冷却処置――バックパック下部に位置する強制冷却器から悲鳴のようなファン音が鳴り響いている。
“まだ油断は出来ない……”
左手だけで取り出すのは、最後の装填済み弾倉。
銃口を向けた先はそのままに、リリースボタンを押し込むことで重量2kg近い空弾倉が愛銃から落下、何度か甲高い金属音を立てて階下へと消えていった。
――突如、悪視界に吹き荒れる、風切り音を伴ったビル風。
《多機能欺瞞体》の自爆によって崩落に巻き込まれたまま、フルオート射撃を浴びた怪物共の姿がようやく映し出される。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「悪いな……相棒達……また逝き損なったみたいだ……」
どうにか小声で呟き終わると、身体がその場に倒れ込んだ。




