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私小説  作者: α
5/7

#5

帰宅後に何をするでもなくすぐに横になると眠りに落ちていた

日付が変わる前に眠るのはいつ以来だろう


人に言いたくない夢を見た


昔の恋人が出てきた

どこだかわからない――多分二人で見た映画や雑誌に出ていたような――カフェに僕らはいた

彼女はアイスコーヒーを飲んでいた

ストローを抑えるその指が嘘だと思えるくらいに綺麗で

その綺麗さに思わず息をのんでいた

「どうしたの?」と全てを見透かしたような笑顔で僕を見ている


どうして別れたんだっけ……

そうだ将来のことで話が合わなくなったんだ……


「なんでもない」と平静を装う


高校生くらいの時に国語の教科書に載っていたガソリンスタンドを舞台にした小説の影響か

女性の指に惹かれることがよくある


「何それ」とくすくす笑っている


なんで付き合ったんだっけ

なんだか成り行きだった気もする


「映画でも行こうよ」と話題を作る

「何見るの?」

「今何がやってるんだろう?ついてから決めよう」

「別にいいけど」


言われてみればあの頃にスマホは普及してなかった

今みたいにアプリを入れればすぐにわかる時代ではなかったが携帯電話で調べることくらいはできたはずだった

携帯電話も通話とメールくらいでちょうどよかったのかもしれない

「なんでもわかる時代」が目の前に見えていた

それは「全てが分からなくなる時代になる」とおびえていた

今でも感情やら女心がわかるとは思えない


「で?本当は何がしたいの?」とやはりすべてを見透かしていた彼女がいたずらっぽい笑顔で言う


はっとした時目が覚めた

窓には街灯の光が入っているが――カーテンも外していたから――夜中だとわかるくらいには暗い

スマホで時刻を確認すると2:54と表示していた

下着が汗でびっしょり濡れている

もう一度眠ろうとしたが眠りにつけずシャワーを浴びることにした


あの夢に意味はあったのだろうか?

そんなことを思いながら夢の中でそして今も胸の中にある邪な思いをシャワーでは洗い流せない事実にどうしてか焦っていた


シャツも取り換え眠りにつこうとする

色々な過去を思い出す

どうやらしばらくは眠れそうにない

備品として取り付けられていた冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出すと無意識に過去を整理しようと

固く感じる床に胡坐をかいていた

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