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私小説  作者: α
3/7

#3

何もない部屋に戻りスマホでニュースを眺める

色々なことが起きていてやはり今年の締めくくりも「今年は色々とありました」とでもなるのだろう

そんな色々なことも今の僕にはどうでもよくて「今年は事件がありませんでした」なんて年末に言われる日が来るのだろうか?とへらへらしていた


事件――仰々しい言葉ではあるが案外にそこらへんに転がっているのかもしれない

僕自身もすべてを手放したことは家族からしたら事件になるだろう

意外な友人が結婚したら「ちょっとした事件」としてささやかれるのだろう

事件はその辺に転がっているものなのだろうか?


馬鹿げたことを考えやりきれそうにない時間を過ごす

「飲みに行こうか」とスマホの時計を確認したら15:23と表示していた

仕方なしに図書館へ行くことにした


通いなれた道をあたりまえのように歩いているけどもうすぐ僕はこの街を去る

そして新しい場所で新しい道を覚えるたびに今のこの道を遠くに感じていつか嘘だったと思ってしまう日が来るのかもしれないとさえ思う

それは少しさみしいけど時間は流れる一方で流されているだけの僕が前に進むためには自分で一歩を――たとえ間違った方向だったとしても――踏み出すしかないのかもしれない

踏み出した結果として今のこの道も近所から見えた隣の区の高い塔も公園も通いなれたスーパーもすべてが過去になるわけでそんなことを不意に考えると……アホみたいな感想だが若くはないんだなと痛感する

そしてそれはやはり時間の流れを痛感させる


思えば土地勘のないこの場所へ来たのも自分の意志とは関係のない話だった

「仕事で」の一言に納得されるからこそ僕はその言葉を使いなれることに集中した

新しい部屋は遠くに借りた

東京を出ていくことに迷いはなかった

明るい話題も出来事もなかった

ただなんてことはない嫌気がいつからか振り切れなくなって気が付けば東京を離れることを夢見るようにさえなっていた

3日後に僕は出ていく

その時には何を思うのだろう


湧き出る水のように次から次へと出てくる邪念を機にしていたら僕は図書館を通り過ぎていた

3日後に僕はこの街を出ていく



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