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俺。なんか若返ってた

完全不定期更新です

 緑の中を10フィートの木の棒でかき分けながら進んでいく。

 まるでキャンプに来たような気がして中々気分が良い。


 そもそもずっと会社という牢獄に閉じ込められてタダ働きをしてきたのだから緑をめいいっぱい吸うだけでも気分は良くなるし健康という気がしてくる。

 そうすれば歌いだすのも自然なことで、俺はうろ覚えの歌を歌いながら目の前の緑を退けていく。


「あーるーこー、あーるーこー。わたっしはーげんきんー」


 そういえば歩いている途中で一つだけ気が付いたことがある。

 ……すっごく今更な気がするんだけど


「そういや俺の服装変わってんな」


 そう、なんか俺の服装が変わっていた。

 よくRPGで軍人とかが来てそうなバリバリの鎧装備になっていた。しかも左腰には大剣がぶら下がっていて、まさに剣士! って感じだ。

 一応持ってみたが、まるでリコーダーでも持っているかの如く軽く簡単に素振りを行えた。まさにチート主人公になった気分だ。


「ん? 川か」



 見るとサラサラと流れる綺麗な川を発見した。

 近付いて見てみると、水が透き通って魚が優雅に泳いでいる姿が見える。


 その姿が社畜だった俺を馬鹿にしてるようで、腹が立ったので剣を突き立てた。

 すると、そいつが馬鹿だったのか簡単に刺さっていた。

 ここで刺身にするワケにもいかないので、焼いて食った。


「んぐんぐ……そういや異世界生活始まっての初飯か」


 焼くのは簡単だった。

 まず「ファイア」と叫ぶ。するとどうだろうか、全く何も出ない。

 その調子で何度か試してみたが何をやっても無駄だったので落ちている枝を拾い集めて、大剣と一緒に持っていたナイフを色々と使って火を点けた。


 焼いてそのまんま食べているが不味くもないし美味しくもない。

 ここいらで塩とかあれば変わったんだろうが、今は無いものを強請っても仕方あるまい。



「ごっそさん」


 そのうちに食べ終わり、念のため残しておいた焚き火を消してから手を洗うために再び川を訪れた。


「ん?」


 手を洗おうと川を覗き込んで、変なものを見つけた。

 というよりも、それは俺だった。


「俺って、こんなに若かったか?」


 川に映る姿はどう見ても20代前半の俺だ。

 まだある程度モテていた頃の外見だと思う。今更見てみるとなんだか別人みたいだ。


 だがその姿は以前の俺より少し逞しく見える。

 日本人に東洋の鎧とか似合わないだろうとか思っていたが、どうやら見る限りなかなかサマになっている。


 まあ、今更若返った程度で驚くものか。

 暴走電車に轢かれて異世界に来たんだぜ?

 今更何よって話よ。



 そのまま再び歩き出した。

 歩く前に10フィートの木の棒で歩く方角の確認もちゃんと行ったし大丈夫だろう。

 魚野郎を食べたおかげと休憩のおかげである程度の距離なら歩ける。

 俺はヨイショヨイショとひたすら歩き続けた。


 幸いにも小鳥のさえずる声や遥か上空の甲高い鳴き声が響いてBGMにはこと足りない。

 自然のバックミュージック付きで歩き続けること体感時間3時間。

 実際の時間は多分1時間ちょっと。



 俺の耳に突如金属音が入ってきた。


「……なんだ? なにか祭りでもやってるのか?」


 音がする方角にひたすら走って行く。

 もしかしたらドキドキ☆初めての原住民! といったイベント発生の機会かもしれんのだ。これを狙わずして異世界探索の一歩になるものか。



「たしか向こうから、だったよな」


 どうやら20代の俺は以前の俺より耳が良いらしい。

 おかげで、あっちへこっちへサスライガーしなくてもすみそうだ……


 一気に緑の中をかき分け、ひたすらに走って行く。

 ずっと座りっぱなしだったせいでかなり楽しい。毎朝早くからジョギングする人の気持ちが分からなかったけれど、今ならその気持ちが分かるかもしれない。


 いや、向こうに戻る方法知らないから、今更そういう人達の輪に入れないんだけどね。



「おっ、出口か?」


 走っていると向こうの方から緑から漏れる光が見えた。

 おそらくそこが外だろう。それにさっきから金属音も段々うるさくなって来ている。



 俺は更に勢いをつけ、一気に走り抜ける。

 そして光が視界一杯に入った時、俺は右足で思いっきり地面を蹴った!



「アイキャンフラァァァァアァアアアっイ!」


 空のサーファーになった覚えはないが、何気なく叫んでみたかった。

 そして俺の体は宙へと投げ出され俺はタイムリープ少女宜しくのポーズのまま跳び、着地した。



スタッ!

「ふっ、俺格好良い……!」


 まあ見てる奴は1人もいないがな。

 そう思って立ち上がると……





「き、貴様ッ! 何者だ!」


 突然の野太い声に驚いて周りを見てみると



「………はい?」


 周りには、女の子1人を寄ってたかって襲う変な兵士ばかりだった。

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