俺。異世界に落ちる
完全不定期更新です
俺は異世界へと落ちた。
これは昨日くらいに言った気がする。
そんで、普通は「異世界に降り立ちました」って思うはずだ。
そりゃそうだ。
大気圏スレスレから人が落とされたらどうなるかくらい、ソシャゲで課金しまくる小学生でもわかる。
で、なんで俺がそんな話をしだしたかと言うとだ………
「なんで落ちてんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」
どこまでも広がる蒼い空、地平線に見える海と緑の大地。
時々見えるのはプテラノドンから手足を取ってドラゴンの頭を付けたような生き物やクジラのような巨大生物。
それらが空を泳いでるんだから「あー、ファンタジィー……」と痛感してしまう。
まあ目があうくらいの位置に俺がいるのはかなりおかしい事なんだけどな!
「くそっ! どうするッ、俺に秘められし勇者パワーでどうにかならんのか!」
手の開きクロスさせて勢いよく前へ突き出す。
見よ! これが俺の勇者奥義!
「ギャ○ック砲ォ!」
…………
「ちくしょうがあああああああああああああ!!」
最後の断末魔を上げ、俺は無残にもファンタジック溢れる世界へと落ちたのだった。
………
……
…
「はぁっん! 夢か!?」
目覚めてみると、そこは樹木広がる緑の中だった。
うむ。王道は好きだぞ。
「……ってか、よく無事だったな俺」
見上げると俺が通ったであろう部分の枝が折れて空が見える。
さっき見た飛竜っぽいのが甲高い声を上げながら頭上を通って行った。
「マジで勇者みたいになっちまったのか?」
体を動かしてみると意外にも軽く、飛んでみるとトランポリンに乗っているかのような気分だ。
試しに手短にある大樹を殴ってみる。
バキャ!
「ーーーーーいってえええええええええええええ!?」
よく見る漫画みたいに木が折れるのかと思ったがそうではないらしく、俺の手は真っ赤になり殴った部分の所々に木屑がくっついて痛い。
バトル漫画みたいに簡単に折れるとかそんなんじゃないのかよ!
「メガミさん」め、なんか能力とか授けてくれてないのかよ!
いやただの外人に文句言うのもアレなんだけどさ……
「あーあ、なんかやる気無くしたかも」
死んでそうな高さから落ちても無傷だったんだから、何か無敵能力の一つでも持ってるかと思ったんだけどな。
「……もしかして、これは地道に勝ち上がる系異世界。なのか?」
嫌だ!
絶対に嫌だ! なんのために16年間勇者やってたと思ってんだよ!
いや生きるためなんだけどさ!
………………。
「しゃーない。ここでも生きるために、動きますか!」
ここで立ち止まっててもダメだ。
前の時も23時間労働360日毎日働いてたんだ。
「異世界だろうがなんだろうが、勇者フウト! 精一杯生きてやるぜ!」
立ち上がり、天を仰いだ。
俺の物語がーーー今始まるっ!