第二話 世界について
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◇
イブリスが1歳になってから、2年の月日が経った5月のこと。
現在イブリスは3歳。
シャルロット、シャルは2歳。
3歳になってからは、文字の読み書きを学んだ。知らない文字ばかりだったが、何故か簡単に理解できた。
教えてくれた母上もとっても驚いていたけどイブリス本人も驚いていた。
「イブは、天才なのね」
そう母上は褒めてくれたが当の本人はというと
(どうしてここまで簡単に理解できた?)
疑問が頭の中を埋めていた。
3歳になるまでに様々なことがわかった。
今イブリスが住んでいる場所は、王宮、王城だということ。
イブリスはこの国《ローゼリンデ王国》の第一王子で父上と母上は国王と王妃であること。これを教えてもらった時俺は凄く驚いた。
前世では王子なんて遠い遠い話だと思っていたら、自分がなったのだから。
父はディセイラム・ローゼリンデ。
金に煌めく髪を短く切りそろえていて、瞳は金色。
顔立ちは良い。
母はアルティナ・ローゼリンデ。
銀に輝く髪を腰辺りまで伸ばしていて、瞳はサファイアのような碧眼。
温和な人で、とても綺麗な人。
妹はシャルロット・ローゼリンデ。
母上と同じ銀に輝く髪、瞳もサファイアのような碧眼。
2歳の今でも可愛いとわかる子。
俺はイブリスロード・ローゼリンデ。
俺も母上と同じで銀髪をしている。
瞳は金色で、左の瞳の中には前世でいう魔方陣みたいなものが描かれている。
オッドアイは前世でもあったので理解できるが瞳に描かれてある魔法陣だけは良く理解できない。
(流石、ファンタジー?なのか・・・)
どうにか納得することにした。
◇
文字が読み書きできるようになってから母上に「本がみたいです」と伝えたら持ってきてくれた。
絵本を―――。
別に絵本でもいいんだが・・・この世界のことが知りたいから歴史書みたいなのが読みたかったんだが3歳児が読む本じゃないということで、持ってきてくれないのだろう。
俺が絵本を読んでいる間、母上はシャルに文字の読み書きを教えている。文字の読み書きは必ず覚えたほうがいいことだから、しっかりと教えているのだろう。
◇
絵本も読み終わったので、シャルに文字を教えている母上の元に行った。
「母上、この世界のことが書いてある本が読みたいのです」
正直に告げた。
別に嘘をつくことでもないと思ったからだ。
「う~ん、イブリスは読んでみてほんの内容が理解できるかしら?」
「えっと、試しに読ませてくれるというのは・・・」
「そうね、それならいいかしら」
苦笑を浮かべながら渋々認めてくれた。
その後母上は部屋を出て行き本を持ってきてくれた。
◇
この世界は【カオス】と呼ばれている。
神はこの世界を創り、精霊を生み、獣を生み、人を生んだとされている。
西暦何年とかは、戦争で資料とかがなくなってしまい、今この世界としては、神暦553年らしい。
俺がいる国は、《ローゼリンデ王国》という。
人間の国というのが、《帝国》、《皇国》、《自由都市》と4つあるがそれはまたの機会。
この世界には、《人間族》、《獣人族》、《魔人族》、《精霊族》がいる。
《人間族》というのは、まあ普通の人間たち。
他種族に比べ、これといった特徴がない。とにかく普通で数の多い種族。国は4つ。
《獣人族》というのは、頭頂部に獣耳、そしておしり付近に尻尾がありそれ以外は人間に近しい種類の多い種族。
身体能力が優れている。国は1つ。
《魔人族》というのは、大昔に魔物が人型になった姿とされているが今では完全に人型で魔物であったことなど微塵も感じさせない。
魔力が優れている。国は3つ。
《精霊族》というのは、『精霊』や『妖精』などがいるが国を持たず、人目に触れない深い森などに隠れ住んでどの種族とも関わり合いを持とうとはしない。魔力が桁違いに多い。
種族間戦争をしたりしていたが、近年では種族内戦争も起こったりするらしい。
この世界では戦争は近しいものであり、負ければ敗者として勝者の好きなようにされるらしい。奴隷もある。負けとは、死以上のものなのかもしれないと感じた。
人との争いもあるが、この世界では魔物もいる。何故存在しているのか、どうやって生まれているのか未だ解明されていない。
村や街に住む人々にとったら、魔物と同じくらい危険なのが盗賊だろう。日々の日常を脅かす存在と言える。この世界では、普通に盗賊が存在している。しかし、盗賊を殺しても罪にはならないと本には書いてある。
◇
「母上、読めました」
「本当にイブリスは、賢いのね」
そういいながら母上は俺の頭を撫でてくる。
正直恥ずかしい。撫でられるというのは苦手だ。
「母上、僕がうそをついていると思わないのですか?」
「あら?私は嘘を見抜けないわけではないわ。ただ、イブリスが嘘をついていないとわかったから褒めたのよ。もし嘘をついていたら叱っていたわ」
そういってまた微笑んだ―――。