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異界の刀剣使い  作者: 雪月 奏
第一章 
1/18

第零話 日常の終わり

初投稿!

素人作だけどっ、頑張るのでよろしくお願いします!


3/19 幼馴染みを変更

 『輪廻転生』

 それは、車の車輪のように人の魂は死んだ後も、永遠に形を変えて生き続けるという。



 ◇



 今日は、12月24日水曜日。俗に言う、クリスマス・イブ。



 『これにて、終業式を終わります。HRが終わり次第、帰宅してください』


 (ようやく、終業式が終わったか。校長の話が長いのは、この世界の様式美といえるから仕方がないとはいえ、やはりつまらないものだ)


 この男の名は、天羽 穹(あまはそら)と言う。


 偏差値がそこそこの高校の2年生。童貞、彼女無しと青春を謳歌しているのかは、微妙なところだが友達は普通にいる。


 身長170cmぐらい、少し長めの黒髪。

 顔立ちは、端整で俗に言うイケメンである。

 勉強もできて、学年で上位に入るほど。

 運動もできる方で、なぜ帰宅部なのかわからないほど。


 普通にモテるのだが告白されるようなことはない。何故なら、強力な強敵がいるからだ。



 ホームルームはさっき終わったところで、後は帰るだけというところ。


「穹くん、今日はクリスマスだね。一緒に買い物行こうよ。それでね、みんなでクリスマスパーティーしようよ!」


 この子がその強敵。

 東雲(しののめ) 音姫(おとめ。穹の小学校からの幼馴染みである。

 身長は、160cm程、スタイルは良く、出るところは出ていて引き締まるべきところは引き締まっている。

 髪は茶色の腰まで届く、ストレートヘア。


 顔立ちはよく、学校で上位に入るほどだ。綺麗というよりは可愛いと言える。成績はよく、常にトップ争いをしているほどだ。性格も良く、誰に対しても優しい。

 運動は、あまりできないが音痴というほどでもない。


 そんな彼女は、勿論モテる。だが、心に決めている人がいるらしく、断り続けている。当の本人は音姫の気持ちに気づいていないのだが...。


「ああ、そうだな。パーティーするか」


 (しかし...クラスの男どもの、憎悪の視線が痛いな)


 音姫はモテる。故に、話をするだけで視線を集めてしまう。音姫は気づいていないようだが、針のむしろ状態は耐えられても居心地が悪いと言うものだ。


 普通は、こんな美少女に声をかけられたら、言葉に詰まったりするだろうが、それはあまり親しくない場合で穹には当てはまらないものだ。小学校からの幼馴染みは伊達ではないと言うところか。


 だからと言って、音姫を女として見ていないわけではないのだが...。


「ようっ。なんだなんだぁ?お前達二人でどっか行くのか?オレも連れて行かせろよ?」


 高圧的なセリフをいいながら話しかけて来たこの男は、親友である九重(ここのえ) 恭介(きょうすけ)

 身長182cmぐらいで、穹を超えている。

 こちらは、ワイルド系の男で茶色の短髪、運動神経もよく筋肉もあるガタイのいい男だ。


「わ、私達二人でなんて・・・・」


 恭介にいわれたことで想像しているのか頬を真っ赤に染めている。


「こらっ恭介!音姫を虐めるな!!」


 そう大きな声で叫びながらこちらに走ってくるのはもう一人の幼馴染みの立花(たちばな) 一夏(いちか)

 身長は低く155cmを超えたぐらい、しかし胸は大きい。

 顔は良くて音姫と同じようにアイドルといわれて、髪は黒で腰まで届くようなツインテール。


 クラスメートの男子の間では、一夏のことを『ロリ巨乳』などと呼んでいるが本人の前でいう勇気あるものはいない。


「オイオイ一夏、オレは虐めてないぜ!?」

「うっさい!罰は罰よっ食らいなさい!!」


 そういって跳び蹴りを恭介に向けて放った。


「マジかよッ!?」


 恭介も跳び蹴りが来るとは思っていなかったのか、回避もせずにいたせいかお腹に命中してお腹を押さえてうずくまっている。


「悪は成敗したわ!」

「一夏ちゃん、あの、そのぉ、スカートの中丸見えだったよぉ・・・」


 一夏が穹の机にきたからか先に居た音姫がそういった。


「なっ!?・・・穹、あたしのパンツ見た?」

「いや、見てないぞ」


 事実を伝えたのだが、それでも信用しないのか穹の顔に一夏は顔を近づけている。


「ほんっとーでしょうね?」

「勿論」


 目を逸らすことなく見詰め合っていると


「穹くん、一夏ちゃん、キスするみたいだよぉ顔が近いよぉ~」


 音姫が顔を両手で塞いで指の隙間から覗きながら呟いた。

 それを聞いた一夏は、顔を真っ赤に染めて穹の顔から勢い良く距離をとった。


「か、勘違いしないでよねっ!ホントかどうか確かめるためだったんだから!!」

「ああ」


 それはそうだろう。

 穹と一夏は、恋人同士なんかじゃないし一夏は穹のことを好きでもないだろう。


「恭介も痛みが引いたみたいだな、それじゃあ行こうぜ?」


 ◇



 校門前まで、音姫たちと一緒に行く途中。


「何がいるかなぁ~」


 パーティーに必要なものを話しながら校門に近づいて行く。


「お兄ちゃん」


 俺のことをお兄ちゃんと呼んだのは、俺の妹である天羽 月読(つくよ)だ。俺より一つ下の1年。

 肩にかかるほどの黒髪で、整った小顔をしている。

 身長は150cmぐらいと低く、小柄で俗に言う幼児体型と言える。

 義妹と言うこともなく、血の繋がった兄妹である。この子も美少女だ。美幼女と言うのかもしれないが...。

 このような容姿をしているからか、天使と称えられてファンクラブもあるそうだ。


「月読、か。結衣はどうした?」

「?いなくなった...?」

「いや、聞いているのは俺だぞ...」


 このように、天然だ。


「月読ちゃん、結衣ちゃんおいてきたの?」

「そんなこと、ない。と、思う...」

「オイオイ、結衣の奴は大丈夫かよ?」


 恭介の言っていることは、理解できる。


 彼女、袴乃(はかまの) 結衣(ゆい)は、月読のクラスメートであり、親友であり、穹たちの後輩である少女だ。

 髪の色は明るい茶で、胸にかかるぐらいの長さで身長は、月読と同じくらい。


 だが、胸は大きい。


 さらに、性格が純真無垢、好奇心旺盛、天然で、「高校生か?」と言われるほどだ。学校中で、月読と一緒に天使のようだと称えられていて、ファンクラブもあるほどだ。


 まあ、月読と一緒に紳士と言う名の変態に狙われたりといろいろあるみたいだ。


「月読ちゃん、おいて行かないでくださいよ...」


 と、聞こえてきた。


「結衣、大丈夫か?」


 息を切らして追いついたらしい結衣が心配で俺は、声をかけた。


「は、はいっ!だいじょうぶですよ先輩!!」


 大丈夫なようだ。結衣は俺が声をかけると少しだけ慌てるようだ。人見知りでは、無いはずだが...?

 疑問にも思ったが、話が続いているようなので、声をかけられなかった。


「―――――ところで、どうして結衣は月読と一緒に来なかったの?」


 と、一夏が聞いた。みんな気になっていたようで結衣に目を向けている。結衣は少し慌てながらもその時のことを話してくれた。


「じ、実は、ホームルームが終わったあと、荷物をまとめてたら、月読ちゃんが教室から出て行くのを見て、急いでまとめて追いつこうと思ったんです。けど、どこに行ったのかわからなくて...それで、先輩たちのところかなぁって、思いまして」


 そう言われて、俺たちは月読の方を見た。


「月読、待ってやれよな~」


 と、恭介が言うと。


「おいていかれるのが、悪い。きっとそう」

「違うぞ...」

「ヒドイなっ!?」

「じょうだん」

「月読ちゃんの、じょうだんはじょうだんに聞こえないよ...」


 月読がボケて、俺が否定して、恭介が驚いて、音姫が溜息をついて、

 これがいつものメンバーで、日常と言うやつだ。



 ◇



 街で必要な物を買い揃えた俺たちは、俺と月読の家である天羽家でクリスマスパーティーをすることにした。

 何故、天羽家かというと、最後の店から一番近いからというわけだ。


「ところでよ、お前ら将来の事とかもう決めてんの?」


 と、恭介が急に真面目な顔で真面目なことを言い出した。


「私は大学!」


 と、一夏。


「私も大学だよ」


 と、音姫。


「俺はまだ、決めていないな」


 と、俺。


 この頃は、学校でも「将来のことを考えて~」とか、よく言われていたが正直、やりたいことが見つからない。


「でも、早く決めなきゃダメだよ穹くん?」

「ああ、わかってるさ」


 このやり取りは、いつもの事だ。2年生2学期を過ぎてからよく言われてきたから飽き飽きすると言うものだ。


 だから、音姫と一夏が前のほうを歩いていた月読と、結衣のところに言ったのもいつものことだった。


 ただ、いつもと違うことがあった(・・・・・・・・)


 歩行者用の信号が青になっていて月読たちが渡っているのに、大型トラックが止まらない(・・・・・)ことだ。


「ッ!?音姫、一夏、月読、結衣、危ないッ!!!」


 俺、恭介、和哉は、荷物を持って横断歩道を渡る前だったから良かったが、音姫たちが危ない。

 未だ、大型トラックが近づいていることに気づいていない。大型トラックがぶつかりそうなことに気づいていない。大型トラックは、止まらない。

 止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない!!


 (どうすればいい!どうすれば助けられる!?)


 僅か0.1秒の間に考え抜いた俺は、荷物を放り出し、彼女たちの元に走って行き、その背中を押した。押せたのは、音姫と、結衣だけだったが、月読と手をつないでいたから離すこともなく、大型トラックの車線上から抜けてくれた。


 (良かった。なんとか助けられた。彼女たちはこれで死なない)


 そう思った。「自己犠牲」とか、「自己満足」とか考えていなくて、ただ、ただ、彼女たちを死なせたくない一心だった。


 (彼女たちが、死んでしまうのは悲しい。後悔してしまう。ならば、自己犠牲でもなんでも、救えるならそれでいいじゃないか)


 そう、思ってしまった。


 恭介や、音姫たちが何か叫んでいるような気がするけどよく分からない。トラックが五月蝿いせいだろうか?


 (これが死ぬ寸前ということか)


 大型トラックは、俺にぶつかり、俺は宙を舞い地面に落ちた。

 ひき潰されなかっただけマシか、どうかなんていうのは、考えれなかった。


「お兄ちゃんっ!?お兄ちゃんお兄ちゃんっ!!」

「穹くん穹くんっ、お願いだから死なないでぇ!!」

「穹、死んじゃ嫌ぁあああ!!」

「先輩先輩っ!?死んじゃダメですぅ!!」


 (泣かせてしまったな、彼女たちを。けど、死なせなくて良かった...)


 無愛想な俺だけど、最後は笑えたと思う。



 そうして、俺天羽 穹は、死んで(・・・)しまった。

不定期更新です。

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