表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/14

追跡者、亜理沙と絵理

「もう、なにやってるんですか、絵理さん!」


 カメラ屋さんでの愛美先輩足留め工作が限界になったようなので、喫茶店に先回りしてみれば、絶好の修羅場!あんなに上手くいってるとは思いませんでした。あそこに愛美先輩が戻れば、ヒロゴンは完璧アウト!即死だったはずでした。


「絵理さんの裏切り者ぉ」

「ごめんなさい。でもやっぱり間違ってる」


 絵理さん!愛美先輩がヒロゴンとくっついちゃっても、いいんですかぁ?


「二人が、幸せなら」


 はあ?しあわせなわけないじゃないですか!愛美先輩は騙されているんですよ。


 絵理さん、なんでそんなにヒロゴンの味方するんですかぁ?

 やっぱり本当はヒロゴンが好きなんでしょう?ありさは知ってますよ。


「……べつに」


 やっぱりヒロゴンが好きなんだぁ。でも大丈夫ですよ。愛美先輩には言ったりなんかしませんから。ありさのお口は堅いんです。二人だけの秘密です。


 でもヒロゴンが先輩と仲良くなったら悲しいですよね。


「……べつに」


 うふふ、じゃあ、こうしましょう。愛美先輩が好きだったら、ありさと一緒にヒロゴンと戦ってください。

 もし、ヒロゴンが好きだったら、愛美先輩に近づけさせないように、ありさと協力しましょう。


「両方好き」


 それなら、ありさと協力してヒロゴンと戦って、先輩に近づけないようにしましょう!


「……なんかおかしい」


 もぉぉ、わからない人ですねぇ。ヒロゴンが先輩にえっちなことしてもいいんですかぁ?


「しない」


 本当にしないと思いますぅ?


「……」


 どうなんですかぁ?大好きなヒロゴンが大好きな愛美先輩に、えっちぃことしちゃうんですよぉ?


「少し悲しい。でも二人が幸せなら」


 だからぁ、しあわせになんかなりません。


「どうして?」


 どうしてもですぅ。ありさが妨害しますぅ!


「なら亜理沙ちゃんが敵」


 ちがう、ちがう!敵じゃないです。困った人ですねぇ。


 だったら絵理さんとヒロゴンが上手くいくように頑張りましょう。ありさも応援しますから。白百合の騎士は恋する乙女の味方です。それなら絵理さんもヒロゴンも幸せでしょ?


「愛美先輩が悲しむ」


 先輩にはありさがついているから大丈夫。安心してください。


「私も一緒にいる」


 もぉぉ!どうしてわがままなんですか、絵理さん!


 そうだ!ほら、生徒手帳に書いてあるでしょっ、『不純異性交際は禁止』って。もしデートしてるとこ見つかったら、愛美先輩は退学になっちゃうかも?絵理さんはそれでもいいんですか?


「よくない」


 でしょう?ヒロゴンの学校でも校則違反は……、きっと男子校なら恐ろしい罰を受けるはずです。恐怖の拷問もされます。それでもいいんですか?


「ダメ」


 だったら、余計なこと考えないで、とにかく、デートを妨害しないと!わかりましたね。


「校則違反はよくない。でも退学も拷問もない」


 絵理さんは本当にわからず屋です。なかなかありさの言うことをわかってくれません。

 でも、粘り強く説明して、間違ってえっちなことされれば、間違って大変なことになって、退学もあるかも知れないということは、わかってくれました。


 結局、デートのお邪魔は協力しないけど、もし間違いをしそうになったら、協力して先輩を救う約束をしてくれました。




 愛美先輩とヒロゴンが喫茶店を出て来ました。こちらも行動開始です。


 やはりオートバイに乗せるようです。ありさの予想通りです。想定内です、心配いりません。対策は講じてあります。


 ありさは見抜いていました。ヒロゴンの取り柄はオートバイだけです。ありさはこのときのために、パパの『すぺしゃるスクーター』を用意してあるのです。パパは留守だったので、こっそり借りてきました。


 相手は暴走族の全日本代表。でもこちらも負けないです。パパの『すぺしゃるスクーター』のエンジンは、難しいからよくわかりませんけど超すごいんです。パパが作ったオートバイは、レースでもいっぱい優勝してます。だからこのスクーターも、世界一速いスクーターなんです。

 ヒロゴンがA級ライダーかなんだか知りませんけど、逃がしません。


 運転手は絵理さんです。バスも来ないような田舎に住んでる絵理さんは、家から駅まで毎日スクーターで通ってるオートバイのベテランです。ヒロゴンでも逃げることはできません。


 さあ、絵理さん!追跡開始です!


「でも50ccの二人乗りはダメ」


 愛美先輩を守るべき、果敢にありさはヘルメットを被り、後ろに乗ろうとしたら、絵理さんがまた水をさします。


 もおぅ、こんなときになに言ってるんですか!

 早くしないと見失ってしまいます。


「でも、交通ルールは守らないと」


 今は非常事態なんです!!それにこれは、おっきいエンジンに改造してあるから50ccじゃありません。早く!


「わたしの免許は50ccまで」


 大丈夫ですっ!登録は50ccだから問題ありません!早く!


「やっぱり交通違反?」


 もおっ、緊急事態なので仕方ないんです!愛美先輩が退学になって、ヒロゴンが拷問されるのを防がなければならないんです!

 さあ早く、発進してください!


 わからず屋の絵理さんをなんとか誤魔化して、じゃなくて説得して発進しました。愛美先輩とヒロゴンは、二つ先の信号で止まってました。


 大丈夫です、見失わないように追跡開始です!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ