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――Prologue
俺の幼なじみは完璧だ。
何が?、 と聞かれると返答に困る。
容姿に始まり性格成績運動美術、 家事に事務になんでも御座れ。
強いて弱点を上げるとしたら料理が少し苦手な事とピーマンが食べられない事、 そして俺を様々な事に巻き込む事。
自らの正義を貫き、 悪には俺を巻き込みながら叩き潰しに行く。
流石にヤクザなんかに挑んだ事は無いが、 この地区一帯で不良が減ったのは彼女の行動の影響と言えるだろう。
道を歩く老人が居たならば、 行って荷物を持つ。
カツアゲされた人がいたならば、 行ってお金を取り返し謝らせる。
因みに俺はそれに付き合わされて、荷物持ちや不良捜しをやらされる。
何度も絶縁を考えたが、 主人公補正のかかった奴からサブキャラは逃げる事は不可能なのである。
隣の家という腐れ縁をどう切れと?
幸いなことは、奴を好きになった人物が、 俺に嫉妬する事が少ないという事だ。
小説のようにヤンデレに襲われた、 なんて事は今まで一度も無い。
せいぜい奴に告白して撃沈した人物の愚痴を聞かされる程度だ。
むしろ召し使いの如く奴に働かされる俺に、周りが同情してくれるぐらいだ。
そして今日も俺は奴に巻き込まれて行く。
「さて、弁明を聞こうか?」
俺が目の前にいる幼なじみを睨みながら問いつめると、 彼女はあからさまに目を逸らした。
彼女の名前は、肝付 香奈。
彼女こそがMs.Perfectの名前をほしいままにする、 俺の幼なじみだ。
黒く長い髪、 それなりに整った顔。
出るところが出て、 引っ込む所が引っ込んでいる体型。
道を歩く人がみんな振り向くーーーー関わるとこんな目に遭うと知らなければ俺も振り向いているであろう、 「美少女」と呼ばれる分類だ。
そんな彼女はしばらく目を泳がせた後、 首を傾げてこんなことを言った。
「何のことだか判らないな」
途端に人を叩いたいい音が響き渡る、 俺が彼女を殴った音だ。
「痛いじゃないか! なんて事をするんだ!」
「悪い、 とは思っていない。 つい反射的に」
「余計に性質が悪いよね! それ」
頭を抑えながらこちらを睨んでくるが、 そこは無視して言葉を続ける。
「もう一度チャンスをやろう」
「無視!? ねぇ、 無視なの!?」
もう一度あたりに響き渡るいい音、 そしてしゃがみ込む香奈。
「俺は嘘がでぇきれぇなんだ」
「なんで、 なんで殴るの」
頭を擦りながらこちらを上目使いでにらんで来る。
普通の奴ならば、ここで土下座しそうな勢いで謝っていただろうが、俺には効かない。
幼馴染というフィルターがフル活動した結果、 俺はそれを無視して話を続ける。
「頭の悪いお前のために説明してやろう。 お前に連れて行かれた店に入っていった結果、 こんな訳の分からん所に来てしまったことに対しての言い訳を聞いてやろう」
そう、 そうなのだ。
今回もこいつに巻き込まれてしまったのだ。




