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レムリアの女王  作者: みすみ草
一章 記憶
3/3

二、誕生

お読みいただきましてありがとうございます。


数か月後。長野〇✕病院。


オギャー!オギャー!

赤ん坊が生まれた瞬間、周囲が一瞬淡い黄緑色と青色のグラデーションに光ったが誰も気付かなかった。


日向里桜ひなたりおはたった今子供を産んだ。だが側に家族はいなかった。

夫の陽介は半年前に交通事故で亡くなったのだ。

「里桜さん、おめでとうございます!女の子が産まれましたよ!少し待っててくださいね。」と言って、助産師の美和は生まれたばかりの赤ん坊を産湯へ入れた。すると、赤ん坊の右手が光がかすかに光っていることに気が付いた。なんだろうと不思議に思っても、無理やり手を開かせることは出来ないので、自然に手が開くのを待つことにした。


産湯に使わせてから美和は赤ん坊を里桜の胸にそっと乗せた。

里桜は嬉しそうに「可愛い。やっと会えたね。貴女はペリドットを持って生まれたのね・・。これから貴女には大変な運命が待っている。でも心強い味方がいるから頑張るのよ。神様、どうか娘をお守りください。」と、声にならない声で祈った。その表情は聖母の様だった。

そして赤ん坊に手をやろうとした刹那「う、うう・・。あ・・。」と、苦しみ出し、直後に意識を失った。


「里桜さん!しっかりしてください!!」

美和は慌てて声を掛けたが、里桜は事切れていた。





里桜と陽介は、陽介の両親に結婚を大反対されたが、反対を押し切って2年前に夫婦となった。

反対された理由は里桜が施設育ちで天涯孤独の身だったからだ。


二人が結婚したことで縁を切られた二人は東京の小さなアパートで暮らし、労わり助け合いながら暮らしていた。そして一年経って妊娠して喜んだのもつかの間、陽介は会社の帰りに暴走車に轢かれて亡くなった。


里桜はショックを受け、精神的ダメージで一時話すことが出来なくなってしまったが、二人の宝物を守りたいという思いで立ち直り、里桜の生まれ育った長野へと帰り、前向きに頑張っていた。


そんな里桜を、美和は持ち前の明るさと優しさで支えた。

美和に支えられながら里桜は無事赤ん坊を生んだが、産んだ直後に里桜は儚くなってしまった。


赤ちゃんを引き取る家族は無く、施設に預けるしか無いと思うと美和は心が痛んた。

そんな時、一本の電話が病院に入った。



翌日、一歳くらいの子供を連れた夫婦が病院を訪れた。

男性は陽介の弟で、”日向洋平”と言い、妻の佐知と子供の海斗を一緒に連れて病院へきた。

洋平の話によると、陽介夫婦と洋平夫婦は仲が良く、連絡を取りあっていたという。だが半年前突然連絡がとれなくなって必死に探していたと語った。


陽介の元を訊ねようと思ってもペンションを経営している為、休むことが出来ずにジレンマを抱えていたが、やっと休みを調整して東京に行ったら、陽介は亡くなっており、アパートは引き払われていた。洋平は酷くショックを受けたが、行方不明の里桜を心配し、ペンションを暫く休みにして探しまわった末、里桜が長野にいることが分かったという。


里桜のアパートを訪ねたら、出産の為病院に行ったきり戻って来ないと知って、慌てて病院に連絡を入れたという。「兄と里桜さんが亡くなったのは本当に残念です。里桜さんと兄の忘れ形見は、私達が引き取ります。」と、申し出てくれた。


手続きを終えた夫婦は赤ん坊に”沙羅”と名付けて四人は帰っていった。

美和は四人を見送りながら、沙羅の手の中で光っていた物を思い出していた。握られていた小さな手が開いて、見たものは1㎝程の黄緑色のペリドットという宝石だった。何故こんなものが‥と吃驚したが、これはきっと、陽介と里桜からの贈り物だと思い、手に握らせたままそっとしておいた。そして沙羅の幸せを心から願った。


その一部始終を、姿を消して見守っている三つの影があった。

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