細海先輩と御森くんの趣味の話
「御森くん、業務に関係ない話をしても良いですか?」
この〝業務に関係ないことを話しても良いか〟の確認は真面目な細海先輩なりのコミュニケーションの入り口である
「雑談大歓迎です!」
会話の始め方が独特の人だけど、一旦業務の手を止める合図になるので最近は便利な一言だなぁ〜と思っているし俺も使わせてもらっている
「アイドルグループにはリーダーとセンターが居るんですか?」
なるほど、今回の議題はアイドルグループについてらしい
「いますよ!リーダーはみんなを引っ張って行くまとめ役で、センターはパフォーマンスを披露する時に真ん中に来る人ですね!俺のイメージだと、見た目が整ったビジュアル担当がなるポジションって感じです!」
俺の説明に「へぇ〜、ちゃんと役割分担があるんですね…キャラクターに沿った色分けだけだと思ってました」と目を見開いてリアクションをしてくれた
「細海先輩は好きなアイドルとか居ないんですか?」
いわゆる推し活をしてるイメージは無いが、知ってるアイドルくらい居るだろう
「むかーし2人組のアイドルユニットの雰囲気が好きで歌とかもよく聞いてたんですけど、アイドルとして好きだったかは分からないです。ドラマとかは見てました」
「2人組だと明確なリーダーやセンターって概念は確かに無いですね」
そこから暫く彼らが出ていたドラマの主題歌や演技の話で盛り上がっていた時だ
「御森くんは私世代のドラマやアイドルの話もできるの凄いです」
と、言われた
「俺めっちゃ多趣味なんですよ、どんなアーティストやアイドルが人気なのか見てるのも好きですし、ゲームもやりますしスポーツもなんでもします」
とにかく気になった事は手当たり次第にやりたいタイプだ
そして恵まれた身体能力と愛嬌のおかげで大体のことは楽しめるくらいまでは成長できる
探求できない代わりに広く浅い趣味の持ち方をしている
「逆にできない事ってあるんですか?」
細海先輩からの素朴な疑問に眉を顰め神妙な面持ちで「お化けが、ダメです」と答えると盛大に吹き出してくれた
「いや、でも、きっと御森くんの好奇心と行動力が今も役に立ってるんでしょうね、仕事覚えが早いので助かります」
ニコニコと嬉しそうにそう言われると悪い気はしない
「因みに、細海先輩の趣味ってなんですか?」
俺の問いに「趣味……」と少し考えると
「休日の1人飯ですね」
と納得した顔で答えてくれた
確かに、細海先輩の食べ垢には度々美味しいそうな料理とお店の情報が載っている
「興味あります!今度は俺も誘ってくださいよ!」
そう言うと
「〝1人〟飯って言ってるじゃないですか」
と呆れ顔で言われたが、絶対いつか美味しいお店に連れてってもらおうと俺は思ったのだった




