5ー⑦
読みにきてくれた方ありがとうございます!
そう言えば更新した日、めちゃめちゃ外雪まみれで驚きました
「はぁっ…!」
ーーーレリアは博物館の中庭に、茫然と立ったまま意識が戻ってきた。
葉へと伸ばしていた硬直する手を引っ込め、息を整える。
だが、動揺からか心音が身体全体から聞こえており、震えは未だ止まらなかった。
視界には記憶に入る前の光景が広がる。
周りの観光客達は、此方を気にも止めていないのか皆楽し気に会話を続け、不思議な光を持つ白い葉がふわりと浮きながら先ほどの光景は嘘ではないと語っている様だった。
まるで自分だけが、この世界から取り残された感覚になる。
「…。」
頬を冷や汗が流れ、只管見えた記憶をレリアは思い返した。
(モリアス…。)
王だったなんて「知らない」…いや、自分が思い出せていないだけなのか。
(でも、王だったとしたらおかしい…。)
恐らくあの記憶で見たのは戴冠式だとレリアは考える。
そうなると、あの城は元々フィリア王国だった場所…。おおよそ500年前に滅んだ国になる。
ふとそのまま視線を下に下げると「フィリア王国」の文字が目にとまり、そのまま白い葉の解説プレートを読む。
白い葉は寄贈されたと書かれ、元になった神樹はアグロースから元フィリア王国に移植されたとある。
(え…白い木は神の樹のみ…?)
詳しく読んでみると、白い幹を持つ木は世界に一つだけであり、同じものは一つとしてないと記載されていた。
(つまり…私の記憶にあったあの木は…やっぱり神樹だったんだ。)
さらに下を読む。
「…え?」
思わずレリアは絶句した。
おおよそ500年前…レリアの覚えのあるその木は、3日間戦争を経て、元フィリア王国の王城近くに移されたとあったのだ。
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(ど、どういう事…??)
モリアスとの幼い時の記憶や、小さな黒い子どもと会った時も…確かに白い木があった。
世界に一本しかない 白い木
神樹
500年前に移植…。
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千切れていた違和感が、レリアの中ではっきりとした形になってくる。
隣国に行った時、見覚えのある城がぼろぼろなのも。
故郷と思って、住民に聞いても、誰1人として自分を知らないのも。
自分の知り合いが、記憶の声か幽霊としてでしか会えないのも。
…自分に何かを隠すような…シルドさんの姿も。
辻褄が合ってしまう。
合ってしまった。
レリアは自分の考えに耐えきれなくなり、見ていた白い葉から目を背ける。
そして、神殿の博物館から、周りを気にせずに外へと走り出した。
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博物館を出ると、レリアは脇の小道に入ってすとんと座り込む。
「…ねえ、シルドさん。」
どうして、教えてくれなかったんですか。
ぽつりと、薄く涙の張る瞳が、不安げに空を見上げた。
夕闇が迫り星の瞬くその光がまるで彼を思い出させる。
今の今まで、何故自分に言ってくれなかったのかと詰りそうになる。
本当に...自分を揶揄っていたのか。
いや、そんな筈はないと首を横に振るも、教えてくれない事実だけが、レリアに付き纏う。
ーーー「私って…何年寝ていたんですか…。」
彼女は、ついに自分の真実へと足を踏み入れた。
次回から終章に入っていきます。




