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冥府の先まで 〜記憶喪失なんだけど、闇も執着も底が見えない男に捕まった〜  作者: アマヤドリ


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彼女に隠された話④

本編ではないですが、彼の昔にやっていた事が出てきます。

残酷描写があるので、ご注意を。





----暗く、石の冷たい空間


苛立ちと怒声...そして恐怖が、鎖で縛り上げられた男を、ただひたすら取り囲んでいた。




「▲▲▲!!!!」

ガタガタと目の前の男に向かって、恐れに蝕まれた震える声で何かを言う。


冷え切った石の上に、ぽたりと銀の雫が流れ落ち、悲鳴が迸った。



「おや、失礼しました。」

少し切りすぎましたと、悪びれのない声が聞こえてくる。


「さて、貴方の神格の大きさを見させて下さい。」

ふむ...小さくなってきましたね、と呟かれ、水色の瞳が絶望に染まる。


「大きいと、反発が大きいものでして...。これで、私のを随分と注ぎ込み易くなりました。」

何をとは言われずとも、恐慌状態の男にとって、これから自分の身に起こる事が容易に想像出来、より一層暴れまくる。だが、鎖が解かれる事はなく、身体を締め上げられて強制的に動けなくされた。



「眷属になる彼女も嬉しいですが、神格を全て私に染め上げたい訳ではないのです。」

「いつもの自由に囀る姿も、好きですから。」


---貴方もそう思いませんか?

耳元で囁かれた言葉は、悍ましさと憎悪に満ち溢れていた。



「--〇〇!」


「言い訳なさらなくても...何度も彼女宛に文を出していたのでしょう?」


切れ切れになる掠れた声で訴えるも、黒々しい男の前では塵と同じく、当然のごとく聞き入れては貰えない。


「湖畔に誘ったり、パーティーへの同伴者にと。」

「後は...たしか花を贈っていましたね。」




「...最後は...戦いに勝ったら、彼女を娶りたいと。」


赤々とした瞳が、全て知っているぞと言わんばかりに男を見下ろしていた。



「■■■!!」


「何故知っているか、ですか...。愛する方の全てを知りたい、というのが始まりでしたね...。」

「私には貴方が思う以上に、多くの眼と耳を持っているんです。その過程で、偶然花に寄り付く小さな羽虫に気付いたまで。」口元に笑みを浮かべ、指先に、しゅるりと黒い紐の様な影で遊び出す。



「しかし、よくもまあ、私が背後にいる事を知りながら...ふふふ。その愚かな勇気だけは、讃えましょう。」


眼は一切笑っていない、憤怒を携えた色が男を貫く。




「さて、話を元に戻しましょう。」

そう言って、再び鎖の拘束が強められる。

もう息をするのもやっとの様子だが、お構いなしに、銀に濡れた男の回りを、ゆっくりと歩きながら話し始めた。


「配下にした神々に、神名を通して、自身の権能を注いで眷属にする。眷属にした者は、自身の命を忠実に遂行する、何をしているのか、行動や所在も...考えている事も分かるのが魅力です。それに、眷属の力を奪って行使する事も出来ます。」


ですが、これがなかなか難しいものでして。

と、あまり難しいと思っている顔とは思えない、上辺だけの困り顔を見せられる。



「...残念ながら、その過程で記憶を失う場合があると分かりました。とくに、神格が傷ついている場合、記憶も失う可能性が高い事も。」


「そんな中、つい最近、丁度神格の半分に、自身の権能を入れ込むと、命令に関してはきかないものの、行動と所在、心の内側は掴めるというのが分かりました。自由な思考が残っているので、記憶も徐々に取り戻していく姿がありまして...ですが、この例は1例のみ。」


はぁ、と溜息をつくと、男の正面に影の化身が立つ。


「これを参考に、成功例を増やしたいのですが...。出来る事なら、記憶を失わない様な成功例をあげたいものです。」


「▲▲...。」

「なぜ?...ですか。ふふ...。」

それは勿論、言わなくてもわかるでしょうと、光る十字の目が歪む。


「それに、記憶を失わないようになれば、彼女の神格を私にも是非入れていただきたいですね。彼女も私を常に感じて、過ごしてくれるという事ですから。」


まるで決定事項の様に語る男の姿に、狂っていると言おうとするも、痛みに呻くだけで、言葉は出なかった。





「という訳で、協力、してくれますね。水流の神イル。いや、イクル-ネルカルド。」


男...水の神は蒼い髪を振り乱し、圧倒的な気配を持つ目の前の神に、赦しをと、嫌だと、助けてくれと縋る。



「嫌ですか...。残念ならが、貴方に拒否権はありませんよ。」


涙を流す男の側に寄り添って、くつくつと笑いながら人差し指が胸に当てられ、愉しげに宣言される。




------



貴方は敗戦したのですから。

貴方の全ては私のモノ。

髪の先から、心の臓腑に至るまで。


私は冥炎の神


天の神が、神を生み出すのであれば、

私は唯一、神を消滅ころすする事の出来る神です。



------



どうか心配ならさないで。

魂の一欠片も、無駄にはしませんから。

紅に染まる目が、此方(男)を覗き込む。






背筋が凍るような冷たい暗闇が襲いかかってきて、やがて、男の全ては闇に覆われた。






出てきた水の神も、なかなか結構行動派と言えますね。


行動派と行動派はぶつかった結果、こうなりました。



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