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冥府の先まで 〜記憶喪失なんだけど、闇も執着も底が見えない男に捕まった〜  作者: アマヤドリ


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54/65

4ー④

4章はあと4話ぐらいでおしまいです。

読みに来てくれた方、ありがとうございます。




「ちょ、ちょっ、あ、え、え?!?」

金の膜の様なものは、レリアの身体全体を包み込み、皮膚の上に温かみをほのかに感じる。

身体が黄金に包まれており、くっ付いているのかと思ったのか、レリアは腕をぶんぶん振った。

だが現状は何も変わらず、余計に輝きが増していく。



「な、なななな、なんです?!これ!!!」

「レリア、落ち着いて下さい!」

シルドは彼女を懸命になだめようとするも、自身の身体の異変に騒ぐレリアを、止める事は出来なかった。


「いやああああ!」


何がどうなっているんだと、光り輝く発光状態のまま、レリアはタイルの上を走り回る。

きらきらと瞬く砂金の様に、彼女の後ろに瞬いては消えていった。



「…はぁはぁ。」

レリアは散々走って疲れ果て、息が荒くなる。


結局輝きは薄れる事なく、彼女にとりついたままだった。

むしろ自身から発せられているというのを、レリアは受け入れざるを得なくなる。


「シルドさん…。どうしたらいいんですか?」

困り顔の彼の顔を見ながら、レリアが尋ねる。



「…それを、今から一緒に考えましょう。」

「…はい。」


ただ走り回って騒ぎつかれたレリアは、彼女が落ち着くまで待とうと、静止を諦めたシルドにようやく助けを求めたのだった。





ーーーーーーーーーーーーーーー


予想外の事態が起きていたのは、男…シルドも同じだった。



(…おかしい。)


彼女の「声」が、心が…何一つ聞こえない。

記憶を覗こうとする前までは、期待に心を躍らせる彼女の、鈴の様な音色が聞こえていたというのにと、シルドは苛立つ。



(…ありえない。)



(ありえない…ありえない、ありえない、ありえない、ありえない!!)



心の中では、嵐のように吹き荒んでいた。


そう、ありえないのだ。

そんな事は、目覚めてから今までの一度も、なかった。



(例え守護の力が蘇ったとしても、万が一の事を考えて動いていた。)


まだ黄金に輝き、どうしようと走り回る彼女を見ながら、思案にふける。




ーーーもうあの時の様な事が、起きない様にと…干渉出来る土台を作ったのにと、歯ぎしりしそうになる自分を抑え込む。





(そもそも…。あの忌々しい記憶を彼女と共に見ようとしたのに、なぜ弾かれたのか。)

再び入ろうとするも、あの守護に拒まれた。

(ですが、力は私の方が強いはず。守護は破れるはず…なのに。)


ーーーなぜ私の力を…私を拒む事が出来るのか。




(…永遠の女神。なぜ彼女をここに導いた。)

ここの記録は、何か特殊だったのかと再び考え込む。

シルドの表情には、焦りの色が見えていた。



(間違いなく、予期せぬことが起きている。)



男はそう確信し、「声」が聞こえぬのなら、「目」を増やさねばと自身の影に命じ、走り疲れて足を止めた彼女の影へと滑り込ませたのだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「…レリア、落ち着きましたか?」

優し気に声を掛けたシルドが、彼女の肩に手を置く。


「…はい。本当にすみません。」

結局、原理は分からないが、自分が光っているという認識で間違いなさそうだと、レリアは考え、もう一度自分の身体をよく見てみる。

服の上は全体的に薄っすらと輝き、腕や指など、直接皮膚が見える所のほうが、濃い黄金の膜になっているというのが分かった。

先程は突然の事で頭がパニックになっていたが、冷静になると、皮膚の上を滑るような温かさが胸の奥まで染みわたり、あまり悪い感覚はしない…むしろ溶け込むような心地が良い感じがする。


「これ、何なんですか?」

腕のじっとみながら、レリアはシルドに尋ねる。


「…これは、祝福です。」

「祝福??神様から??」

もしや、冥炎の神かと思ったが、シルドが首を横に振り、違うというのが分かる。



「じゃぁ、一体誰から…。」



「守護神…。」

ぽつりと囁くように、シルドが言う。

「え?」

「守護神です。」


(あれ、でもその神様って…。)


「…ええ、世間では…行方が分かっていないと言われている神です。」


レリアの戸惑うような表情から、シルドは知りうる神の名を答えた。

(守護神様…。)

確か、守護神の権能は…守護領域の展開…分かり易く言えば、バリアを張る力。


「守護神様の…祝福??」

そう言って、レリアは黄金の輝きを見つめる。

自分を見ていた彼女は気付かなかったが、彼の顔には、言うべきか、言わないべきかを迷うような表情を浮かべていた。



「神の力の全ては…心を穏やかにすれば、発動している力は消えると思います。こればかりは、感覚によるものですが…。」

シルドは言うと、レリアに近づいた。


「手を。」

そう言うと自身の両手を彼女に差し出した。

どうやら、手をのせてほしいという事なのだろう。


「…はい。」

「…では、目を閉じてください。」

レリアは彼の言う通り、素直に目を瞑る。

「深く息を吸って…貴方の身体に流れる力を、戻すような想像をして下さい。」

掌に伝わる、彼のひんやりとした手の冷たさが、自分の上にある様な温かみをより感じる。


(戻すような…戻すような…。)

レリアは力を抑え込むのではなく、小さくする様なイメージで集中する。


暫くすると、その温かさが身体に馴染むかの様に、優し気に胸の奥底へと戻っていった。


「…。ふう。」


息を吐いて、目を開ける。

すると、もう体にあった輝きは無くなっていた。

ようやく自身の身に起こった異変が終わったと、レリアは安堵する。



「…もう大丈夫そうですね。」

手をそっと互いに離す。

あっけなく離れていった彼に、レリアは少しだけ違和感を覚えた。


「…。」

そして、無言で上の空の様なシルドの様子に、レリアは怪訝な顔をする。


その時、彼の顔が苦悶で歪んで見えた様な気がして、レリアは顔を覗き込んだ。

だが「何か?」と口元にいつものような笑みが浮かんでいるだけで、特に変わりはなかった。


外套の影だったのだろうと、「なんでもないです」と言い、彼女も近づきすぎていた距離から離れた。




(…こういう時、揶揄ってきそうなのに。)


いつもなら、手を離さなかったり、逆に離そうとすると握り返したりするのに…と。



まあいいかと思いながら、一瞬の違和感を「気のせい」と、レリアは片づける。

そして、記憶で見た事について話をしようと、頭の中を整理し始めた。





彼女が、ついに彼の違和感に気付きはじめます。

章はあと2~3章に分けて、上げる予定です。

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